2018.11.26 05:00

【甘口辛口】大阪万博決定も…一過性のイベントではなく生活に密着した目標はないのか

【甘口辛口】

大阪万博決定も…一過性のイベントではなく生活に密着した目標はないのか

 ■11月26日 「万博には参ったよ」。駆け出し時代の1970年8月、甲子園大会の取材に行っていた先輩がげんなりした表情で社に戻ってきた。聞けば終盤を迎えた大阪万博の見物客が殺到した帰りの新幹線は大混雑で、立ちっぱなしの帰京になったとか。ニュースなどで知られた万博の熱気が妙なところから伝わったものだ。

 2025年に再び大阪で万博が開かれることが決まった。今度の会場は大阪湾に面した人工島の夢洲(ゆめしま)が舞台となり、5月3日から11月3日の185日間に約2800万人の来場を想定しているという。夢洲まで地下鉄が伸び、訪日外国人(インバウンド)の増加で街は活気づくかもしれない。

 経済効果は2兆円とか。街も人もイケイケだった前回の万博景気の再現にはそれなりの金もかかる。会場建設費は約1250億円で国、大阪府・市、経済界で3等分するが、付き合いで金を出してもらう「奉加帳方式」に経済界がどこまで協力してくれるか。金、金、金…で膨らみ続けた東京五輪開催費のような「青天井方式」はごめんだ。

 テレビで聞いた街頭の声は「楽しみ」が多い半面「もっと地道な所にお金を使ってほしい」との意見も聞かれた。世耕経産相は「東京五輪後の日本に大きな目標ができた」と胸を張ったが、景気は一向に上向かず庶民の暮らしが楽にならない中で万博が日本の目標といわれてもピンとこないのではないか。

 25年は団塊世代の全員が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」の年でもある。テーマの「いのち輝く未来社会のデザイン」もいいが、一過性のイベントではなくもっと生活に密着した国の目標はないものかとも思ってしまう。 (今村忠)