2018.11.23 05:00

【甘口辛口】慣れ合い嫌い、出稽古を禁じた亡き師匠…稀勢の里は原点に立ち返っては

【甘口辛口】

慣れ合い嫌い、出稽古を禁じた亡き師匠…稀勢の里は原点に立ち返っては

2010年の九州場所で横綱白鵬の連勝を止めた稀勢の里(右)

2010年の九州場所で横綱白鵬の連勝を止めた稀勢の里(右)【拡大】

 ■11月23日 大相撲の写真を一枚、自室に飾ってある。2010・11・15の日付と勝ち名乗りを受けた力士の自署が書かれている。稀勢の里。その日の九州場所で、横綱白鵬の連勝を63で止めたときのものだ。

 今、それを見て驚くのは観客の少なさ。観衆は3480。客の入りが最も少ないという平日の2日目とはいえ寂しい。振り返れば、その年は大相撲野球賭博問題が起き、翌年2月にはその捜査から八百長問題が発覚して春場所が休止。続く夏場所は技量審査場所として開催された。相撲界にとって、どん底の時代だった。

 あれから8年たって様相はすっかり変わった。スージョと呼ばれる相撲好き女子まで現れ、ほぼ連日満員御礼。「若・貴」以来のブームと呼ばれるほど人気は回復した。その立役者の一人が、若乃花以来17年ぶりの日本出身横綱となった稀勢の里であることに異論はないだろう。

 7年前は、師匠の鳴戸親方(元横綱隆の里)が急死した直後の九州場所で大関昇進を決めている。そうした思い出の地に「優勝」を目標に掲げて臨んだ今場所は、ひとつも勝てずに5日目から休場した。まさに好事魔多し。

 休場の理由は初日の貴景勝戦で右膝を痛めたためというが、横綱ゆえにふがいなさが目立つ。10勝で乗り切った秋場所は幸運にも勝てた一番が序盤に目立っていた。幸運は2場所は続かなかった。

 場所前の出稽古で手応えをつかんだようだが、横綱の出稽古は、相手力士はけがをさせたくないからどうしても全力で取れないという。亡き師匠は慣れ合いを嫌って出稽古を認めなかった。今は大関高安という最高の稽古相手が部屋にいる。初場所での復活へ向け、原点に立ち返ってみてはどうか。 (鈴木学)