2018.11.15 05:00

【甘口辛口】元プロ選手の野球部監督による体罰 不適格なのは誰の目にも明らかだ

【甘口辛口】

元プロ選手の野球部監督による体罰 不適格なのは誰の目にも明らかだ

 ■11月15日 人はああまで怒り狂うものかと言葉を失うほどだ。名古屋経済大高蔵高で硬式野球部の監督を務める酒井弘樹教諭による壮絶な体罰。活字だけなら「またか」程度で済まされたかもしれないが、証拠の映像がテレビで流れた。ミーティングで部員を次々と平手で殴り、蹴られた生徒が吹っ飛んだ。被害者は12人に及ぶ。

 愛情のかけらもなく、うっぷん晴らしのようにも見えた。しかも監督は93年にドラフト1位で近鉄に入団し通算21勝した元プロの投手と聞いてよけいびっくりした。登校時に携帯を学校に預けるルールを守らない部員が多く腹を立てたというが、それだけで殴る蹴るは異常だ。

 酒井教諭は02年に引退後、母校の大学に入り直して国語の教員免許を取り09年に発足した野球部を一から育てた。13年から元プロのアマ資格回復が簡略化され研修だけで指導者になれるが、教諭は「教員監督」が絶対条件だった旧制度の難関を乗り越えた教育者でもある。一般生徒には「優しい先生」で通っているとかで、よけい理解に苦しむ。

 同校の服部万寿夫副校長は「日頃暴力を振るうことはないので驚いている」と話し、こう続けた。「一昨年秋には県大会ベスト16までいったが、指導の過程でコミュニケーション不足があり妥協しながらやってきて携帯のルール違反が発火点になった。しかし、言い訳は絶対にできない」。

 映像はたまたま近所の人が撮って拡散したという。体罰には世間の厳しい目も光り、隠しおおせる時代ではなくなった。教諭は学園の懲戒規定により処分されるそうだが、手足の出し方からは常習性も疑われる。少なくとも監督としては不適格であることは誰の目にも明らかだ。(今村忠)