2018.10.15 05:00

【甘口辛口】築地時代の雑然さ消えた豊洲市場…一体感やぬくもりが残るような演出を

【甘口辛口】

築地時代の雑然さ消えた豊洲市場…一体感やぬくもりが残るような演出を

豊洲市場の物販コーナーを行き交う人たち。外国人客の姿も目立った

豊洲市場の物販コーナーを行き交う人たち。外国人客の姿も目立った【拡大】

 ■10月15日 「築地の雑然とした雰囲気がなくなったのは残念」と、テレビニュースで外国人が感想を語っていた。「同じようなすし店が並んでいても築地の方が伝統的で日本らしい印象を受けた」とも。確かにオープンした豊洲市場の映像を見ると、飲食店街は空港や地下街のように整然と並んでいて魚河岸らしい情緒は伝わってこない。

 その代わり豊洲には開放型の築地にはなかった近代的な設備が整えられた。食品衛生管理の国際基準の認証を受ければ欧米への輸出も可能になり世界と勝負できるようになる。そうでなければ大騒ぎして移転した意味がない。日本的情緒などは二の次三の次になるのは仕方ないのか。

 とはいっても肩が触れ合うほど狭くごちゃごちゃした店や、さんざめきの中で接した日本の方が外国人には得難いものらしい。福岡市の名物、屋台も同じ日本の食文化を求め外国人ラッシュだが、現金のみの勘定に戸惑う彼らのために市が普及を進めるキャッシュレス決済を、8月から実証実験で屋台にも導入したほどだ。

 その一つはレミさんというフランス人がオーナーのフレンチ屋台。17年前に博多を訪れガイド本を頼りにたまたま入った屋台が当時の福岡ダイエーが勝った夜で、レミさんも大盛り上がりの輪に巻き込まれた。言葉もわからないまま“日本の心”を知り市内でフランス料理店を開店。昨夏、市の屋台公募制度に応募して念願をかなえたという。

 乙にすました舞台からは、こんな話も生まれないだろう。移転したてで問題点も指摘される豊洲だが、雑然とした中にも強く人の心に訴えた築地時代の一体感やぬくもりが残るような演出を、日本人のためにもぜひ考えてほしい。 (今村忠)