2018.10.13 05:00

【甘口辛口】自殺の16歳アイドル遺族がパワハラ提訴 適正な働き方の見直しにつながれば

【甘口辛口】

自殺の16歳アイドル遺族がパワハラ提訴 適正な働き方の見直しにつながれば

 ■10月13日 どんな仕事も「三拍子そろう」のは難しい。野球では走攻守三拍子そろったいい選手などと言う。さしずめ、今季3回目のトリプルスリー(打率3割、本塁打30本、盗塁30個)を達成したプロ野球ヤクルトの山田哲人内野手あたりか。それも、人を育てる環境があって初めて、三拍子どころか、それ以上の人材が育つものだ。

 が、ある建築会社の知人が、こう言って嘆いていた。「昔は先輩は後輩に対し厳しかったけど、その分、人を育てようという親心や余裕があった。今は誰も自分の仕事をこなすのに精いっぱいで、社内が殺気立つこともある」と。「仕事量も増えたし働き方改革など、どこの国の話という感じ」とも。

 それは地方アイドルの世界も同じかもしれない。全国には今、地方再生に貢献するという大義名分のもと、ご当地アイドルグループが次から次へと誕生している。しかし、テレビなどメディアに出られたり人気のあるグループはごく少数。所属事務所とのトラブルも散見する。

 そんな中、「歌って踊って耕して」の三拍子そろったキャッチフレーズを掲げた愛媛県のグループ、愛の葉(えのは)Girlsのリーダーの少女(享年16)が3月に自殺。その原因は所属事務所の過重労働やパワハラだとして遺族が12日、松山地裁に1億円近い損害賠償請求訴訟を起こした。

 歌や踊りに加え、野菜を育て収穫する異業種の農業にも従事させるからには、それなりの労働時間や健康面の配慮がまず必要だろう。その点、事務所が本人や親とよく話し合ったのか。かけがえのない命が失われた事実は重い。せめて、この裁判が適正な地方アイドルの働き方の見直しにつながればと思う。 (森岡真一郎)