2018.9.30 05:00

【甘口辛口】復帰果たした虎党・中村福助、“同志”たち待つ関西での復帰楽しみ

【甘口辛口】

復帰果たした虎党・中村福助、“同志”たち待つ関西での復帰楽しみ

 ■9月30日 胸が締め付けられる闘病のニュース続きの中、大病から回復していく姿ほど周囲を明るくさせるものはない。歌舞伎俳優、中村福助の約5年ぶりの復帰舞台、東京・歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」が26日に千秋楽を迎えた。

 2013年秋、成駒屋の大名跡・七代目中村歌右衛門襲名が発表されてすぐに、脳内出血による筋力低下で公演を途中降板、休業に入った。当時53歳。前年12月に義兄の中村勘三郎さんが逝き、13年2月には市川團十郎さんが死去。歌舞伎はどうなってしまうんだろうと不安に襲われたのを覚えている。

 復帰舞台は昼の部「金閣寺」の慶寿院尼役。此下東吉役の中村梅玉と2人だけの場面で、出番は4分間、せりふは3つ。名女形らしい気品ある所作は健在で、連日大変な拍手だったそうだ。「この5年近く、毎日のように芝居の夢を見ました」。初日の談話に喜びがあふれていた。1カ月公演を完走した今、感慨はいかばかりだろう。

 共演の梅玉は千秋楽前の22日、本紙の取材に「初日はよくぞここまで頑張ってくれた、と思って。自分も泣きそうになってね」と目を細め、楽屋でも「こちらの言っていることに受け答えてくれるし、話しかけてくれる。お客さまの声援が何より彼の力になっていると思います」と回復ぶりを明かしてくれた。

 福助はかつて楽屋に「六甲おろし」の歌詞が入った猛虎バージョンののれんを掛けていた熱烈阪神ファン。襲名は保留になっているものの、再建が急務のタイガースと違って完全復活を焦る必要はまったくない。いずれ南座や大阪松竹座でもその姿が見られる日を、関西の“同志”たちも楽しみに待っております。 (親谷誠司)