2018.9.24 05:00

【甘口辛口】横綱としては「仮免許」がやっとかも…稀勢の里は心身とももっと磨きかけて

【甘口辛口】

横綱としては「仮免許」がやっとかも…稀勢の里は心身とももっと磨きかけて

稀勢の里

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 ■9月24日 かつては横綱にも「免許」が必要とされた。相撲協会が「この力士を横綱にしたい」と思うと、相撲の家元とされた熊本の吉田司(つかさ)家に願い出て横綱免許状を発行してもらった。いまはそんなややこしいこともなく、朝青龍のように暴走を重ねると代わりに横綱審議委員会から「免許取り消し」(引退勧告)が出る。

 昨年春場所で横綱昇進後、皆勤はその場所のみで8場所も休場が続いた稀勢の里は、さしずめ免許の「失効」危機だった。白鵬の優勝で23日に終わった秋場所は、進退をかけた稀勢の里一人に注目が集まり「10勝」といわれる横綱の勝ち越しに、やっとたどりついたといった感じだった。

 序盤は2日目の貴景勝戦の大逆転から始まり、紙一重で拾った白星が続き玉鷲や千代大龍戦の完敗もあった。右足のけがで苦しんだ栃ノ心や集中力の切れた鶴竜には勝ったが、番付的には平幕上位か小結あたりの相撲内容だった。長いブランクで致し方ないにしても横綱としてはまだ「仮免許」がやっとかもしれない。

 連日、満員の館内では相撲人生をかけた稀勢の里の必死さで、歓声と悲鳴が土俵を包んだ。多分に同情の裏返しのような応援に聞こえなくもなかったが、さすがに19年ぶりに誕生した和製横綱。いろんな意味でファンに愛され15日間、国技館を熱狂させ続けた。こんな力士は最近では見当たらない。

 ただ取組後は、ほとんど口を開かず「無言」も何日かあった。言葉が出ないほど神経をすり減らしたのかもしれないが、ファンにすれば間接的にせよ何も気持ちが伝わってこなければ応援のしがいもない。「本免許」の横綱へ、心身ともにもっともっと磨きをかけてほしい。 (今村忠)