2018.9.23 05:00

【甘口辛口】台風の爪あとに言葉失う…気づかされた晴れた休日のありがたさ

【甘口辛口】

台風の爪あとに言葉失う…気づかされた晴れた休日のありがたさ

 ■9月23日 各地に大きな被害をもたらした21号で、自宅が台風の目に入る経験をした。台風接近とともに猛烈に吹きつけていた東の風がなくなり、青空こそ見えないが雨もやんだ。スマホで見た気象衛星の画像にはクッキリとした「目」。やがて今度は南西の風が吹き始めたが、迫力は数段減った。

 その後、取材で目にした関西の被害に愕然(がくぜん)とした。長く停電が続いた大阪府南部では、看板や信号機、電柱などあらゆるものが今も強風で折れ曲がったまま。高潮で波止に打ち上げられた台船、流され壊された港湾施設。直接目にしただけでも、これらを元に戻すために要する時間と労力と資金を思って言葉を失った。

 北半球の台風の渦は反時計回り。進行方向右側は台風そのものの速度が加わり強い風が吹く。対する左側の風速は台風の進行速度と相殺される。「危険半円」と「可航半円」。小欄宅にそれほど被害がなかったのは、たまたま21号の進路が少しだけ東寄りだったからに過ぎない。

 膨大なエネルギーの塊である台風だが、実は高気圧と低気圧の配置次第でどこに進むかわからない、水面に漂う根無し草のようなものらしい。文明の恩恵で、あらかじめ到来をある程度予測できるが、頼むからこれ以上吹かないでと祈る心情は、たとえば平安の昔と大差ないはずだ。

 温暖化の今、「数十年に一度」がまた毎年来ないとは限らない。大雨、地震、台風と災害続きの夏から何を教訓とするか。23日は秋分の日。九州から東北にかけて広く晴れ、北海道の雨も午前には上がりそうだ。家族で外出できる晴れた休日のありがたさ。それも今年の夏に気づかされたことの一つかもしれない。 (親谷誠司)