2018.9.18 05:00

【甘口辛口】マラソンのキプチョゲが出した世界新記録にも、ため息が深くなるばかり

【甘口辛口】

マラソンのキプチョゲが出した世界新記録にも、ため息が深くなるばかり

 ■9月18日 人類の限界といわれた陸上競技1マイル(1609メートル)の「4分の壁」を破ったのは、英オックスフォード大の医学生ロジャ・バニスターだった。1954年5月、3分59秒4で走った。100メートルの「10秒の壁」は68年6月の全米選手権でジム・ハインズの9秒9によって破られた。

 残されたランニング界の巨大な壁はマラソンの2時間。16日のベルリン・マラソンでリオ五輪の覇者エリウド・キプチョゲ(ケニア)が、初の2時間1分台となる2時間1分39秒の世界新をマーク。キメット(ケニア)のもつ従来の記録を一気に1分18秒も短縮し、夢の1時間台にまた一歩近づいた感じだ。

 単純計算では100メートルを17秒18のペース。25キロ半ばでペースメーカーが離脱してもスピードは落ちず、逆に終盤はペースを上げた。マラソン・駅伝解説でおなじみの金哲彦さんは「1分台を出すとしたら彼で、気象条件が整えば早いとは思っていた。余裕の走りだったようだ」と話す。

 昨年5月、イタリアのF1の聖地モンツァで3人のランナーが非公式に2時間切りに挑んだ。研究者やデザイナーらが一丸となったスポーツメーカー・ナイキのプロジェクト「ブレーキング2」で、30人ものペースメーカーが入れ替わりで引っ張った。結果はキプチョゲの2時間0分25秒が最高だったが、1時間台はすぐ近くに見えるところまできている。

 さすがに猛暑の東京五輪では「優勝は2時間10分を切る程度では」と金さん。ペースメーカーがつかない代わりにキプチョゲらアフリカ勢による激しいペースの上げ下げが予想され、ついていけなければメダルはおぼつかない。マラソン世界新のニュースのたびに出るため息は深くなるばかりだ。(今村忠)