2018.9.5 05:00

【甘口辛口】今年度中のタイトル獲得が無くなった藤井七段…課題が浮き彫りも得意の形を伸ばして

【甘口辛口】

今年度中のタイトル獲得が無くなった藤井七段…課題が浮き彫りも得意の形を伸ばして

 ■9月5日 希代の天才棋士といえども、タイトル獲得は容易ではないらしい。将棋の棋王戦の挑戦者決定トーナメント2回戦で藤井聡太七段(16)が菅井竜也王位(26)に敗れた。これで8つのタイトル戦のうち名人戦を除き、勝ち上がりで挑戦者を決める7つすべてで敗退し今年度のタイトル獲得の可能性が消滅した。

 「7つもあれば釣り堀の魚みたいに、間違いなく釣れると思っていたのに…。1年待たされるファンにとっては寂しいだろう」とある高段棋士。デビュー以来89勝16敗の高勝率を誇る藤井だが、ここ一番で勝てない。菅井には昨年の王将戦1次予選決勝でも81手で敗れており雪辱を果たせなかった。

 藤井は初めから飛車先の歩を突いて飛車を中心に一直線に攻める「縦の将棋」なら、菅井は飛車を振り、王を固めてじっくり戦う「横の将棋」。居飛車、振り飛車と将棋の質がまったく違い、縦に攻め込んでも最後はいなされてしまう感じで、まだまだ藤井が振り飛車に弱いことも浮き彫りになった。

 とはいえ、かつて全盛を誇った振り飛車もいまでは少数派。「いまや人間をしのぐ将棋ソフトで縦の研究が相当進んでいて、若手棋士のほとんどが居飛車党」と前出の高段棋士。その先頭に立つのが菅井と同じ一世代上の豊島将之棋聖(28)といわれる。昨年8月の棋王戦本戦で藤井が初めてA級棋士と対戦して負けた相手だ。

 藤井にとっては横への対応という克服すべき課題が残された。かといって横ばかり研究していては縦が疎かになる。屋敷伸之九段がもつ18歳6カ月の最年少タイトル(棋聖)獲得まで2年ある。まず得意の縦で豊島にしっかり勝ちきれる力をつけ、期待に応えてほしい。 (今村忠)