2018.8.18 05:00

【甘口辛口】2歳児救出の尾畠さん、見返り一切求めない姿勢に心が洗われる

【甘口辛口】

2歳児救出の尾畠さん、見返り一切求めない姿勢に心が洗われる

理稀ちゃんの発見現場で、当時の状況を説明する尾畠さん=15日午後、山口県周防大島町

理稀ちゃんの発見現場で、当時の状況を説明する尾畠さん=15日午後、山口県周防大島町【拡大】

 ■8月18日 とてもまねできないと感服するしかない。山口・周防大島町の山中で15日、藤本理稀(よしき)ちゃん(2)を救出した「おばたのおじいちゃん」、尾畠春夫さん、78歳である。「テレビのニュースで見て、理稀ちゃんに会えるような気がした」と、大分県の自宅から駆けつけた。

 そのカンと迅速な行動力にまず敬意を表したい。行方不明から3日近くたち、日本中が心配する中、到着後30分で奇跡の発見。日に焼けた笑顔もいいが、理稀ちゃんの声を聞きつけ、すかさずその名を呼んだというよく通る声もいい。呼ばれた理稀ちゃんも、どれだけホッとしたことだろう。 

 40歳から始めた登山、65歳まで営んだ鮮魚店、今でも連日8キロこなすジョギングなどで鍛えた声と五感と体力の成果か。発見時に着ていたシャツの背中に書かれた「命は一つ」「人生は一度」「交通安全」にはなぜか笑ってしまったが、その背中を神様が押したのかもしれない。しかも、飲食を含め見返りを一切求めない姿勢に恐れ入る。

 このところ、対価ばかり求める役人や政治家、スポーツ界の腹黒い人間のニュースにばかり接してきただけに、心が洗われる思いだ。そんな尾畠さん。28歳のときに結婚し息子と娘、孫5人がいる。ところが、17日の日本テレビ系「情報ライブミヤネ屋」で夫人のことを聞かれ、「5年前に用事があって出かけて、まだ帰ってこない」と苦笑いで答えていた。

 78歳にもなれば、いろいろあるさと言わんばかり。どうやら別居中らしいが、ユーモラスな返答にまた親しみが増した。きょう18日から今度は豪雨被害を受けた広島・呉市に向かうという。いつまでもお元気で、と願わずにはいられない。 (森岡真一郎)