2018.8.17 05:00

【甘口辛口】世の高齢者に勇気与えた的場文男騎手、新たに定めた目標とは…

【甘口辛口】

世の高齢者に勇気与えた的場文男騎手、新たに定めた目標とは…

的場文男騎手

的場文男騎手【拡大】

 ■8月17日 ♪老いた体でも 歩き続けるさ 歩き続けてりゃ 汗も流れるさ。中高年の哀愁を歌う音楽バンド・ペーソスの「老人のための労働歌」の一節だ。定年を迎えても年金の受給開始は原則65歳。生きるために働く老人の歌は、50代半ばの小欄の胸にも響く。

 的場文男騎手は、世の高齢者に勇気を与えたのではないか。61歳で地方競馬最多勝記録を更新(7152勝)したからだ。1973年10月16日の初騎乗から4万567戦目での到達だった。85年から昨年まで33年連続で年間100勝。今年も6月、脚に20針も縫うけがを負いながら100勝ペースというから恐れ入る。

 小欄は疾走する競走馬に乗った経験はないが、木馬にまたがり騎乗をまねたことはある。中腰で追うのは想像よりも重労働で、木馬から下りると膝が笑った。約45年間、馬を追い、第一線で活躍し続けていることに尊敬の念しかない。

 福岡県で7人きょうだいの四男として生まれた。父とともに木材運搬業を大きくした長兄に「次男までは守れるが、お前らは残っても運転手」と言われ14歳で上京。17歳で大井競馬場でデビュー後も、未明から調教をつけ「騎乗技術では絶対に負けない」という自負を胸に実戦に臨んだ。

 いつしか「大井の帝王」と呼ばれるようになったが、本人はいたって謙虚。「苦労はあとでためになる。本当に苦労した人は他人の気持ちが分かるようになるから」。記録達成前は「目標がなくなり力が抜けるのが怖い」と話していたというが、新たな目標を定めた。37度乗って未勝利の東京ダービー(6月開催)制覇。♪老いた体でも 乗り続けるさ。来月7日に62歳になる彼は「老人のための労働歌」そのものだ。 (鈴木学)