2016.9.15 05:00

【甘口辛口】名前の由来どおり「月神」だった伊調…女子個人で世界初の五輪4連覇で文句なし

【甘口辛口】

名前の由来どおり「月神」だった伊調…女子個人で世界初の五輪4連覇で文句なし

■9月15日

 「伊調」姓は全国で約30軒というきわめて珍しい名字だ。「月神」をまつり、伊勢神宮への調(みつぎ)物を作る土地に由来するそうで青森県三戸郡新郷村には数件あるという。本家の当主伊調寿行さん(49)は「私の発音が悪いのか電話なんかで名乗ると“はぁ、イトウさん?”と聞き返されることが多い」と笑った。

 その本家から出た四男で八戸市在住の春行さん(65)の次女、馨がまた華やかなスポットライトを浴びた。リオ五輪レスリング女子の4大会連続金メダルの快挙で国民栄誉賞を受賞することが13日の閣議で決まった。歴史的にも由緒正しい名字にお似合いの賞ともいえる。

 2012年に吉田沙保里が国民栄誉賞を受賞したときは「同じ五輪3連覇なのに伊調は…」と声が上がったものだ。競技を離れてもタレントとしてテレビで活躍し人気者になった吉田に比べ、伊調はひたすらレスリングに没頭してきた。「陽」の吉田に比べれば地味は地味。陰に隠れた存在は「月神」そのものだった。

 過去の国民栄誉賞には時の政権の人気とりと勘ぐられるような授賞もあった。「なんであの人がもらって、この人が…」と必ず不平が噴出する賞でもある。しかし、女子個人種目で世界初の五輪V4はどこからも異論は出ないだろう。「国民の皆さんに勇気や感動を届けられる人がふさわしい。私はまだまだ」のコメントは謙虚すぎるほどだ。

 伊調は今月24日に八戸市で凱旋パレードを行い、「八戸市民特別栄誉大賞」を受賞する。「金メダルだけでも重いのにますます重くなるが、馨のおかげで伊調姓も全国に認知してもらえた」と寿行さん。もう、名前を聞き返されることもないだろう。 (今村忠)