2016.9.6 05:00

【甘口辛口】桐生の今季最終戦、マルセイユ発の「9秒台」に期待したい

【甘口辛口】

桐生の今季最終戦、マルセイユ発の「9秒台」に期待したい

■9月6日

 抑えの切り札が、いきなり先発を命じられて完投したような感じだ。銀メダルに輝いたリオ五輪陸上男子400メートルリレーの第3走者、桐生祥秀(東洋大)が日本学生対校選手権最終日(4日)の1600メートル(マイル)リレーに2走で出場した。400メートルリレーならともかく、1人で専門外の400メートルを走り切ったところが驚きだった。

 前日の100メートルで優勝し、この日は200メートルも制した直後にマイルリレーも走るよう土江寛裕コーチから指示された。ぶっつけ本番で、さすがに終盤は失速したものの非公式計時で46秒49を叩き出し、アンカーのリオ五輪400メートル代表ウォルシュの快走もあって東洋大の初優勝となった。

 桐生とウォルシュで個人3種目、リレー2種目の短距離5種目制覇を狙った東洋大は前日の400メートルリレーで故障者が出て優勝を逸した。最後のマイルで必勝を期した桐生投入だった。土江コーチは「専門外でも嫌がらずに走った。学生にとって重要な大会で、何よりチームのためにという心意気がよかった」と評価した。

 無酸素運動の限界といわれる400メートルは筋肉全体、特にハムストリング(大腿裏側)の負担が大きく陸上の中で最も苦しい種目とされる。あのボルトは「400の全力疾走を消化できたら100、200は軽く走れる」とのコーチの持論で、シーズンオフに国内の大会で400メートルを走ることもあった。

 マイルリレーを走り切ったことで桐生も一段と走りにキレが出るかもしれない。13日の国別対抗戦「デカネーション」(フランス)が今季最終戦。「記録を狙うだけのレース。条件さえよければ…」と土江コーチ。マルセイユ発の「9秒台」に期待したい。 (今村忠)