2016.3.11 05:00

【甘口辛口】大災害を前にスポーツは決して無力ではない 亡くなった方々を思い出すきっかけにも

【甘口辛口】

大災害を前にスポーツは決して無力ではない 亡くなった方々を思い出すきっかけにも

■3月11日

 大災害の前にスポーツは無力なのか。なじみのバーのマスターに聞くと、力強く「NO」という答えが返ってきた。「人の心を動かす力があるんですから」。

 マスターが、スポーツの力を感じたのは2011年のフィギュアスケート世界選手権。安藤美姫がエキシビションで演じた「レクイエム」を見たときだった。当初、東京で開催予定だったが東日本大震災のため中止。約1カ月の延期後、ロシア・モスクワで代替開催された。

 「2度目の優勝を果たして演じたのが鎮魂曲。情念あふれる舞いに魂の叫びを感じるとともに、東日本大震災で亡くなった人を悼む思いが胸に広がりました」。今でもその演技をユーチューブなどで見るという。「生きているわれわれは、災害で亡くなった方々を忘れないことが大事。スポーツは、それを思い出すきっかけになるんです」。

 小欄にとって「思い出すきっかけ」となったスポーツは、競馬のドバイワールドカップ。東日本大震災の2日前にUAEドバイへ旅立った日本のスタッフは、そろって日の丸と「HOPE(希望)」の文字を刻んだポロシャツを着て、未曾有の大災害からわずか15日後に行われた決戦に臨んだ。すべては日本のために-。心を一つにして挑んだ結果は、日本馬による1、2着独占。日本中の競馬ファンが感動し、大きな勇気をもらうことになった。ドバイの文字を目にするたび、小欄はあのレースと5年前のきょうを思い出す。

 卓球の世界選手権団体戦で男女とも銀メダルを獲得した日本チームのユニホームの胸には、今大会も「WASURENAI 3・11」の文字があった。大災害を前にスポーツは決して無力ではない。(鈴木学)