2016.1.25 05:00

【甘口辛口】賜杯取り戻した琴奨菊の“菊バウアー”に「勝手な動作」の声…気を配れる力士に

【甘口辛口】

賜杯取り戻した琴奨菊の“菊バウアー”に「勝手な動作」の声…気を配れる力士に

■1月25日

 あれから、もう10年もたつのかと改めて時の流れの速さを感じる。平成18年初場所、大関栃東が14勝1敗で優勝したのが日本出身力士としては最後の優勝だった。24日の初場所千秋楽。10年ぶりに日本勢が賜杯を抱いた。期待され続けた稀勢の里でなく琴奨菊だったのがやや意外でも、ようやく国技が“里帰り”した感じだ。

 まわしを引き付け、太鼓腹で相手の腹を突き上げるように激しく上下させて寄る琴奨菊得意のがぶりが今場所は威力を発揮した。部屋の大先輩である大関琴風(尾車親方)もがぶり寄りを得意とした。相手の動きを利用したリズミカルながぶりだったが、琴奨菊のそれはまさに怒涛のがぶりだ。

 さすがに“猛牛”と呼ばれ、32歳で綱を締めた先代師匠佐渡ケ嶽親方(元横綱琴桜)の弟子ではある。31歳の琴奨菊にも遅咲きの桜を期待したいが、一つ気になることがある。制限時間いっぱいから集中力を高めるためか、思いきり体を反らせる独特の動作だ。イナバウアーならぬ“菊バウアー”というらしい。

 これで観客はどっと沸くが、二字口から上がり、柏手を打ち、四股を踏み、そんきょしたりといった一連の所作は相手に敬意を払って合わせるものでそれが「土俵の美」でもある。琴奨菊がのけぞっている間、最後の仕切りに向け気合を高めた相手は塩を手に待たされる。「相手の気合をそぐ勝手な動作。いかがなものか」との声が聞かれるのも事実だ。

 高見盛(振分親方)が、遠慮気味に土俵を背に見せたパフォーマンスとは一緒にできない。賜杯を抱いた琴奨菊には、これからは相手にも気を配れる力士として土俵上の正しい所作でも率先垂範してもらいたい。 (今村忠)

(紙面から)