2015.3.2 05:00

【甘口辛口】多種多様な人材集まる相撲界…番付によらない幹部登用で幅広い見識を

■3月2日

 年6場所のうち最も新弟子数が多い大相撲春場所は別名「就職場所」ともいわれる。今年も2月28日の新弟子検査は43人が受検した。「居反り」や「足取り」といった奇手を得意とする関学大の宇良(木瀬部屋)、カナダ出身のヘンダーソン(錦戸部屋)、ボディービル出身の山端(高砂部屋)らユニークな人材が目立つ。

 中でも宇良は1メートル72、113キロという小兵で、関学大から初めての大相撲入りという。知る人ぞ知る「居反り」は相手の脇の下に潜り込むようにして頭を入れ、体を反らして後ろに投げ落とすアクロバチックな大技。プロではめったに見られない決まり手で、いまから楽しみではある。

 ひと昔前なら1メートル73以上という体格基準にひっかかったが、3年前から1メートル67、67キロ以上と緩和された。栄養が行き届いたいまどきの若者の多くはクリアできそうで「ハードルの下げすぎ」との批判もあったが、こんな間口の広いプロスポーツは他にない。昨今の相撲人気にもあおられ就活の一環としていろんな人材が集まり出したのだろう。

 昭和43年12月に急逝した時津風(元横綱双葉山)の後任として理事長になった武蔵川(元出羽ノ花)は、1メートル73の小兵で力士としては前頭筆頭で終わった。しかし、簿記や経理、ソロバンなどの実務にたけ大相撲の近代化に手腕を発揮し現在の協会の礎を築いたことで知られる名理事長だった。

 引退しても、現役時代の番付通り元横綱大関が牛耳る相撲界だが、平幕止まりという“弱者”の立場に立ってものが言える幹部がいてもいい。間口を広げたことで、武蔵川元理事長のような幅広い見識を持つ人材が入ってくる可能性も広まったのではないか。 (今村忠)

(紙面から)