2015.2.26 05:00

【甘口辛口】いつの時代でもスポーツ紙の底流にあるのは、裃つけない“下駄ばきメディア”の発想

■2月26日

 79年前の「2・26」は日本の運命を決定づけた節目の日だった。陸軍の青年将校が昭和維新を目指してクーデターを起こした1936年の「二・二六事件」。未遂に終わったものの日本の軍国化が一気に加速した。「今日は何の日?」と聞かれ、中高年なら真っ先に頭に浮かぶ出来事だろう。

 それから20年もたたない1955年の「2・26」は、日本のスポーツ新聞の歴史の中で節目ともいえる日だった。大阪で「サンケイスポーツ」の第1号が創刊され、26日が60周年になる。一昨年50周年を迎えた東京サンスポは63年の創刊で、大阪サンスポは先輩であり兄貴分というわけだ。

 題字は同じでも乙に澄ました東京の紙面作りと違い「阪神、競馬、お色気…」と関西の庶民のニーズに特化した紙面で部数を伸ばし、即売でシェア50%を超えたときもあった。東京発のニュースもさることながらスポーツも芸能、社会も関西に密着した記事で読者に応えた。「いってみれば下駄ばきメディアの最たるもの」と編集OBは振り返った。

 95年1月17日の阪神大震災の当日、スポーツ紙は「何を1面に…」と頭を抱えた。サンスポは「あの人ならきっと何かしているはず…」と兵庫県芦屋市に住む元阪神の大投手、故村山実氏宅に記者を急行させた。果たして村山氏は自宅マンションが倒壊しながら半壊した隣の家屋の住人を救出中だった。日本中を感動させ、大阪サンスポの底力を見せた1面だった。

 最近は読者の好みも細分化され、スポーツ紙の作りも難しくなった。しかし、いつの時代でもスポーツ紙の底流にあるのは裃つけない“下駄ばきメディア”の発想ではないか。「2・26」に改めて思う。 (今村忠)

(紙面から)