2015.1.28 05:00

【甘口辛口】白鵬の審判批判は一代年寄認めない“あてつけ”か…大人げない態度は悲しすぎる

■1月28日

 「昭和の名横綱」双葉山の引退理由の一つは「16尺土俵」だったという。終戦直後の昭和20年11月、旧国技館で開かれた本場所で相撲協会は観戦に来る進駐軍受けを狙って15尺(4メートル55)の土俵を1尺(約30センチ)広げた。しかし、双葉山は力士会長として猛反対し「私は15尺土俵で精進してきた」とこの場所限りで引退した。

 「駄目なものは駄目」と全力士のために正面から協会を批判し、1場所で15尺に戻させたのは双葉山の偉大なる人徳でもあった。その双葉山を尊敬してやまない白鵬が、優勝一夜明け会見で初場所13日目の稀勢の里戦の同体取り直しについて「なぜ取り直しか。子供でも分かる」と審判部を批判した。

 その割には審判団の協議の間、土俵下で白鵬が呼出に「どうだった?」と聞いているシーンがテレビに映った。「子供でも分かる」とは自宅に帰ってビデオを見たから言えるので、そのときは自分でも分からなかったのだろう。5人の審判員の肉眼に加えビデオ室で多角的にチェックした結果が同体取り直し。子供に分かるはずもない。

 大体、勝負判定について2日もたっていきなり公の場で口にするのはフェアではない。納得がいかないのなら翌日、自分で審判部に行って「状況を説明してください」と聞けばいい。審判規則では控え力士も物言いをつけられる。その延長線上で許される行為だろう。

 判定への不満は国籍を変更しない限り一代年寄も認めない協会に対するあてつけでは、という声も聞く。最近は不遜な言動が目立つ。物言いがつき「悲しい思いだった」と白鵬は話したが、双葉山にひきかえあまりにも大人げない協会批判は聞いている方が悲しくなる。 (今村忠)

(紙面から)