2014.12.18 05:00

【甘口辛口】26歳の大器・栃乃若が突然の引退…意地は土俵で見せて欲しかった

■12月18日

 先月の大相撲九州場所を最後に定年で土俵を去った立呼出しの秀男さんから、こんな話を聞いた。「呼び上げやすいのは日馬富士、稀勢の里のような5文字のしこ名。いまは5文字の栃乃若は幕下まで本名の李で呼出し泣かせだった」。史上最短のしこ名。「りぃ~~ぃ~ぃ~」と鈴虫の音みたいな呼び上げで話題になったものだ。

 その栃乃若(兵庫県出身、本名・李大源さん)が26歳の若さで唐突に現役引退したのには驚いた。1メートル95、177キロの巨漢で一時は大関候補と期待された。しかし、恵まれた体を生かし切れず九州場所は東前頭15枚目で3勝12敗と大敗し、初場所の十両落ちは必至と見られていた。

 16日の会見では「期待の重さに応えられない自分に腹が立った」と珍しい引退理由を明かした。師匠春日野親方(元関脇栃乃和歌)に申し出たのは冬巡業から帰った翌7日。報徳学園高3年で高校横綱になった栃乃若を「協会の財産になる逸材」と、大事に育てた親方にとって「青天のへきれき」だったのも無理ない。

 おとなしい性格の栃乃若に「内に燃えているものを出してほしい」と、読みが自分と同じしこ名に改名させたのも期待が大きければこそだった。「(指導に)疑問があったことに気付いてあげられなかった」と親方は言った。師弟の考え方のすれ違いが早い引退になってしまったようだ。

 春日野部屋には膝を痛め幕下まで落ちながら元三役の意地を見せ、幕内復帰の九州場所で11勝し敢闘賞を獲得した栃ノ心といういい手本もいる。栃乃若は「もったいない」と惜しまれる辞め方で意地を通したのかもしれないが、後味はよくない。意地は土俵の上で見せてもらいたかった。 (今村忠)

(紙面から)