2014.11.12 05:00

【甘口辛口】田宮五郎さんが急死、父が自ら断った“その先”を見せてくれるのではなかったのか

■11月12日

 俳優田宮五郎さん急死のニュースに、父親の俳優田宮二郎さんを知る中高年世代は強く心を揺り動かされたのではないか。五郎さんは2日、都内の自宅で2年前に患ったくも膜下出血を再発して倒れた。交際中の女優浅野ゆう子が発見して病院に搬送されたが、そのまま6日未明に亡くなった。47歳の若さだった。

 写真を見ると父親に生き写しでびっくりする。「昭和のクールガイ」と呼ばれた田宮二郎は甘い二枚目役から冷徹なエリート、ヤクザ、悪役まで幅広く演じ男女を問わず人気があった。代表作は『白い巨塔』。医学界のトップを狙い野心を燃やす外科医財前五郎役はまさにはまり役だった。

 ポスターの序列をめぐって所属した大映の永田雅一社長と衝突し映画界から干されると、テレビに活路を見いだしクイズ『タイムショック』の司会役で名をはせた。軽妙な司会ぶりとクールガイとのギャップに人々は手を叩いた。事業の失敗などで多額の負債を抱え1978年12月28日、43歳で猟銃自殺した。

 少年時代から俳優志望だった次男は「まず人間を知ってから」と大学卒業後、10種類ほどの職業に就き39歳で俳優デビュー。NHK大河ドラマ『功名が辻』で黒田長政役を演じた。早世した父は「50~60歳になってどんな渋い役者になったろう」と惜しまれた。父が自ら断った“その先”は五郎さんが見せてくれるのではなかったのか。

 交際していた浅野は姉御肌で、ある関係者は「堺雅人が菅野美穂と結婚後一気にブレークしたように、結婚したら浅野は“あげまん”になったろう」。リハビリに励み、仕事復帰に意欲を見せていたというだけに残念でならない。ご冥福をお祈りする。 (今村忠)

(紙面から)