2014.11.11 05:00

【甘口辛口】アルバイトから角界入りのベテラン豊真将…ひたむきな姿勢で幕内復帰を

■11月11日

 17年ぶりに大相撲九州場所の初日に満員御礼が出た。白鵬の史上最多32回優勝へのチャレンジや、怪物逸ノ城が新関脇で何勝するか、など話題も多い。華やかに幕が開いたその初日に、寂しく休場届を出した力士もいる。勝っても、負けても深々と一礼するすがすがしい土俵態度でファンをひきつけるベテラン豊真将(33)だ。

 最高位小結で、今場所は西十両9枚目まで番付を下げていた。7月の名古屋場所で日馬富士に押し倒された際、右膝を痛め7月末に手術した。診断書は「右膝脱臼で2カ月のリハビリテーション加療を要する」。来年初場所は平成18年初場所で新十両昇進以来、初めて幕下に落ちることになる。

 「出たいという気持ちが強かった。最後まで状態を見たので届がぎりぎりになった」と師匠の錣山親方(元関脇寺尾)。平成23年九州場所、30歳6カ月で新三役(小結)になったが、それまで幕内上位で好成績を挙げながら何度も据え置かれた番付運の悪さに加え、手首、頸椎、肩と相次ぐけがもブレーキとなった。

 波瀾(はらん)万丈の土俵人生。日大相撲部を1年で退部したが学業は続け、錣山部屋に稽古場の土を納入していたアルバイト先の建設業者の紹介で創設間もない部屋に入門した。「おとなしいけど芯が強く、黙っていても稽古では最後まで体を休ませない。だからこそ何度も苦境を乗り越えてきた」と親方。

 東京に帰った豊真将は部屋でリハビリに励んでいる。前向きの姿勢は変わらず、引退も全く考えていない。「あれでファンに認知された。誰に教えられたものではなく人間としての資質の表れ」と親方が言う力士の手本のような丁寧な礼を、また幕内で見せてもらいたい。 (今村忠)

(紙面から)