2014.10.28 05:00

【甘口辛口】ソフトB・武田、昭和の野球をほうふつさせる“懸河のドロップ”を磨いてほしい

■10月28日

 ソフトバンクの試合は、レギュラーシーズンではなかなかテレビで見る機会がない。阪神との日本シリーズ第2戦でシリーズ初登板した武田翔太投手も初めて見たが、パ・リーグにはいい投手がいるものだと感じ入った。今ではほとんど見なくなった大きく縦に割れるカーブ、昔でいう“ドロップ”も懐かしかった。

 ジャニーズ風のイケメン選手が増えた中で21歳の割には、ずっと年上に見える風貌。六回二死まで完全試合ペースだったが、時に笑顔を見せながら飄々と投げる姿は高卒3年目には見えなかった。大舞台でつかんだチャンスをしっかりものにして一躍全国に顔と名前が知られたことだろう。

 1メートル86の長身から投げ下ろす直球も威力があり、宮崎日大高時代の異名は「九州のダルビッシュ」。同校で武田を育てた前監督の河辺寿樹教諭は「あのカーブは教えてできるものでない。中学から有名で捕手が捕れなかったほど。小学校でのバレーの経験などで指先に独特の感覚が備わったようだ」と話す。

 高3夏の県大会。0-0で迎えた準々決勝の九回表、武田は内野ゴロで一塁に頭から滑り込んだとき足を痛めた。その裏、まったくストライクが取れず満塁で降板。医務室でサヨナラ負けを知った。「今回の人生初の甲子園は特別な思いがあったはず。あの笑顔も余裕なんかではなく私から見ればひきつっていた」と河辺教諭。 

 1勝1敗になり、もう一度武田の登板が見られそうだ。河辺教諭はこうも言った。「平成生まれでも彼の顔は間違いなく昭和の顔。大人のファン向きかも…」。ならば一層、昭和の野球をほうふつさせる“懸河(けんが)のドロップ”に磨きをかけてもらいたい。 (今村忠)

(紙面から)