2014.9.1 05:00

【甘口辛口】延長五十回の球史に残る激闘は、大会の在り方を見直すいい機会になったのでは

■9月1日

 飛距離が出ない軟式野球で、横浜スタジアムの左翼スタンド入りのホームランに驚いたことがあった。確か1980年頃の力士会の野球大会で、佐田の海(最高位小結)がかっ飛ばした。いまの平幕佐田の海の父親で中学時代野球選手だった。「すごい。プロ選手だって軟式ではスタンド入りは難しいのに」と大騒ぎになったものだ。

 腕力もさることながら、バットの真芯でとらえたからこそだろう。3日間45回を戦って0-0の均衡が破れず、4日目の31日に世界最長試合となった全国高校軟式野球準決勝、中京(岐阜)-崇徳(広島)では両校投手の力投でなかなか真芯でとらえられず、ボテボテの当たりばかりだったようだ。

 一発が出ない上、ともに守りが堅いから余計点が入らなかった。延長五十回表中京がようやく3点を取り決着が付いたが、もう一度同じような試合をやれ、といってもできるものではないだろう。二度とないから「奇跡」であり、決勝も勝った中京は『24時間テレビ』(日本テレビ系)が繰り出した「キセキ」の数々も凌駕(りょうが)したのではないか。

 球史に残る激闘で、突然注目を集めたこの大会は例年なら硬式の甲子園大会終了後、兵庫県内でひっそりと行われ、結果は前文とスコア程度しか報じられない。地方大会は硬式と同様7月末までに終わるのに代表校は甲子園大会を横目に1カ月も待つ。同じ高校野球でも硬軟の格差は大きすぎる。

 同じ日本高野連の主催だけに甲子園と同時期の開催が難しいのはわかる。それなら軟式を先にするか、いっそのこと首都圏に移して神宮を中心に開いてはどうだろう。大会の在り方を見直すには、いい機会になったのではないか。 (今村忠)

(紙面から)