2014.8.9 05:00

【甘口辛口】未来のノーベル賞学者がまさか…STAP細胞も“不適切な関係”もあったのか、なかったのか

■8月9日

 人生には上り坂と下り坂、そして“まさか”の3つの坂がある。人生の3つの坂をこれほどまでに鮮明にした人もいないだろう。STAP細胞論文の共同執筆者で、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長が52歳の若さで、職場の先端医療センター研究棟内で自殺した。自殺現場には遺書が3通残されており、1通は同論文主著者の小保方晴子研究ユニットリーダー(30)宛てだった。

 他の遺書に比べ、はるかに注目度の高かった遺書の内容は「あなたのせいではない」「STAP細胞を必ず再現してください」という趣旨。注目度の高い理由は、笹井氏が生前の会見でキッパリ否定していた2人の“不適切な関係”について、世間の興味が尽きていないからだ。

 STAP論文への疑義が生じるまでの笹井氏の人生は上り坂の一途。京大医学部を卒業、理化学研究所ではマウスのES細胞から網膜全体を作ることに成功。論文執筆の天才と呼ばれ、次のノーベル賞の有力候補だった。同氏の人生は1月28日のSTAP細胞の会見を境に、大きく反転した。

 理化学研究所は自然科学の総合研究所。ノーベル化学賞受賞者でもある野依良治理事長はあいさつ文で「科学技術は、現世代の欲望を満たすだけではなく、未来の世代達が豊かな社会を築くためにある」と書いている。STAP細胞も“野依精神”に沿って研究された。

 話題はスキャンダラスな方向に進んでいるが、問題の本質は細胞が実際にあるのか、ないのか? 難局を乗り越え、科学の核心を追求すべき-と思う半面、小保方さんの顔は無性に見てみたい…と思うのは私が低俗な男だからか…。 (植村徹也)

(紙面から)