2014.7.18 05:00

【甘口辛口】かち上げ、駄目押し…乱暴はびこる土俵にもう一度「相撲の心」を

■7月18日

 「土俵の美」とやらは一体どこへ行ってしまったのか。勝負がついた後の駄目押し、にらみつけ、飛び交う張り手に、エルボーぎみの危険なかち上げ…。殺伐とした空気さえ漂う名古屋場所の土俵を見ていると、まるで“打撃系”の格闘技みたいに相撲がますます変質していくのでは、という危惧さえ感じてしまう。

 初日に日馬富士が相手の碧山の手がまげにかかったことでカッとしたのか、押し出したときに右肘で駄目押し。4日目には白鵬が豊真将を寄り切った後、土俵外に突き飛ばしにらみつけた。立ち合い当たった後の変化に、カッとしたようで途中で張り手も飛んだ。30回目の優勝を目指す大横綱が見苦しい、といわれても仕方ない。

 極めつけは大砂嵐の立ち合いの乱暴なかち上げだ。5日目の鶴竜戦での横綱初挑戦初金星はよしとしても、稀勢の里が鼻血を出し千代鳳が軽い脳しんとうを起こすなど被害者も出ている。審判規則にある禁じ手の一つ「握り拳で殴ること」に極めて近い。相手構わず繰り出して大けがをさせる前に、協会が厳重注意すべきだ。

 力を出し合うのが相撲で、ルールでは許されても張り手も、かち上げも本来の相撲の技術ではない。「何でもいいから勝てばいい」という気持ちの表れでしかない。協会はかつて乱れた立ち合いを正常な形にしようと全力士、行司を集めて研修会を何度も開いたものだ。

 肝心の相撲が道を外れかけたいまこそ師匠任せにせず、研修会が必要ではないのか。礼に始まり礼に終わり、相手を敬う気持ちがあればそうそう乱暴な相撲は取れないだろう。まず「相撲の心」を全力士に説くところから始めたとしても、決して無駄ではないはずだ。 (今村忠)

(紙面から)