2014.5.20 05:00

【甘口辛口】前代未聞の公演中止、ポールのプロとしての健康管理が問われても致し方ない

■5月20日

 「きょうもダメなら、昨日のうちに発表してもらいたかった」と家人が怒りまくっていた。18日に予定されていたポール・マッカートニーの国立競技場公演。やっとの思いでチケットを入手し、指折り数えて待っていた。開場は夕方でも日差しが強いからと熱中症対策も十分に出かけていったが、17日に続き中止となった。

 理由は「ウイルス性炎症」で、病気なら仕方ない。しかし、ポールも71歳の高齢で、ひと晩休んだところで3時間に及ぶステージは初めから無理だったのではないか。開場時間が遅れ人波の中で1時間近く待たされ、スマホを見ていた若い女性の「やっぱりきょうも中止よ」の声でわかったという。

 主なファン層が中高年だけにおとなしく帰ったそうだが、前代未聞のできごとだけに金銭面など後始末も大変だろう。21日の日本武道館、24日の大阪公演は予定通りなら不公平感は大きい。振り替え公演をやるにしても収容力で国立に見合うのは東京ドームぐらいで、野球シーズンが終わるまでは無理かもしれない。

 「それはないだろう、とはこのこと」と苦笑したのは陸上関係者だ。毎年、この時期国立で開いていた関東学生陸上(インカレ)の前半を今年はやむなく16~17日に埼玉・熊谷に移して行った。「うちの学生は朝5時に合宿所を出て全競技を終え帰ったのは夜11時すぎ。2日間とも中止になるくらいなら、インカレをやらせてもらいたかった」。

 最後の国立に立てなかった、若いアスリートの悔しさを再燃させた公演中止。足を運んだ中高年にとっては一生の思い出どころか、残ったのは疲労だけだったろう。プロとしてポールの健康管理が問われても致し方ない。 (今村忠)

(紙面から)