2014.5.1 05:00

【甘口辛口】世界柔道100キロ級の派遣見送り…「不戦敗」は責任逃れで、柔道家の努力と夢も壊す

■5月1日

 とうとう、そこまできたかという感じだ。全日本柔道連盟が、8月にロシアで開かれる世界選手権男子100キロ級の代表派遣見送りを決めた。井上康生や鈴木桂治らのビッグネームがファンを沸かせた看板階級だが、最近は国際大会で不振続き。世界選手権に出ても、いい結果は得られないという異例の決断だった。

 29日の全日本選手権でも、全日本体重別100キロ級を制した熊代佑輔や準優勝の羽賀龍之介が早々と敗退したことで荒療治に出た。陸上や水泳のように標準記録が設定されている競技なら、記録に届かなければ世界と戦えるはずもない。しかし、柔道のような格闘技では何が起きるかわからない。

 2人ともクジ運次第では結構上までいく力はあると聞いたが、「不戦敗」では何も起きない。「継続は力なりで、負け覚悟でも代表を出せば他の選手は“次はオレだ”と奮起するのに不戦敗ではやる気もうせる。重めの選手は100キロ超級へ、軽めの選手は減量して90キロ級にくら替えし100キロはますます層が薄くなるのでは」と専門家は指摘する。

 全日本選手権では下馬評に上らなかった東海大の王子谷剛志が優勝した。決勝でロンドン五輪代表の上川大樹に豪快な大外刈りで一本勝ちしたが、国際大会の実績がないとして代表には選ばれなかった。日本最高峰の大会で優勝しながら何もなしというのも気の毒だ。

 結果ばかり気にして、負けて「なんであんな選手を選んだ」との批判を避けるようにも見えてしまう。しかし、日本柔道の現状は見る方はわかっていて、いまさら負けても文句は出ないだろう。それ以前に選手の努力の芽を摘み、夢を壊す選考の方に問題あり、ではないか。(今村忠)

(紙面から)