2014.4.25 05:00

【甘口辛口】「神の左」でお茶の間にもボクシングの面白さを届けた山中

■4月25日

 「ボクシングって面白い」と見直した人も多かったろう。23日夜のプロボクシング・ダブル世界タイトル戦。TKO負けしたものの、3階級制覇を目指した長谷川穂積(IBFスーパーバンタム級)の壮絶な戦い、「神の左」の神髄を見せた山中慎介(WBCバンタム級)のTKO防衛。まさに「これぞボクシング」の2試合だった。

 視聴率(日本テレビ系)は8・1%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)だったが、ゴールデンタイムにしては6局中4位の健闘。ここまで5戦連続KO防衛しながら、どちらかといえば地味な存在だった山中も、この時間帯だからこそ「日本にもこんなすごい選手が…」とインパクトは強かったろう。

 タイトル戦中継では出番前の控室にカメラが入っているが、山中は出番直前7~8人ほどのスタッフと肩を組み、輪になって「いくぞ!」と気合を入れていた。サッカーやラグビーなど団体球技では当たり前の“儀式”でも、個人競技のボクシングでは珍しい光景だった。

 あるジムの会長はこう話す。「最近は円陣を組むジムが多い。危険度の高いスポーツだから選手とトレーナーはそれこそ命を預け、預かる独特の濃密な信頼関係がある。チームとして相手にどれだけダメージを与えるか、確認し合うには円陣が一番」。向かう所敵なしの山中もスタッフのみんなに支えられている、と印象づけるシーンでもあった。

 「弱い相手ばかり連れてきて」と不評を買った王者のおかげで悪くなったボクシングのイメージも回復してきた。山中には海外での防衛戦や、他団体王者との統一戦構想があるという。「神の左」とともに円陣で見せたチームの絆にも期待したい。 (今村忠)

(紙面から)