2014.3.25 05:00

【甘口辛口】遠藤が強くなるには出稽古が必要、協会もバックアップを

■3月25日

 史上最速に並ぶ所要7場所での新三役昇進は成らなかったが、大相撲春場所はザンバラ髪の遠藤が大いに盛り上げてくれた。東前頭筆頭に躍進し、初めての上位総当たり場所でファンを沸かせた。連日真っ向勝負でぶつかり、場所前の出稽古で傷つけた左こめかみからは出血が続いた。全身全霊の取り口の証しのように見えた。

 かつて輪島や3代目若乃花といった横綱になった力士も、初上位総当たりではそれぞれ6勝9敗、7勝8敗だった。遠藤も負け越したとはいえ、6勝9敗は上出来の部類ではなかったか。初日は鶴竜をあと一歩まで追い詰めながら惜敗した。鶴竜が負けていたら今場所の綱とりはなかったろう。

 3日目の白鵬などはこの“ルーキー”を相手に立ち合い、まともに受けずに右から張ったほどだ。遠藤に足りないのは立ち合いの踏み込み、馬力の強さで何より稽古で番数をこなすしかない。しかし、所属する追手風部屋の関取は遠藤ひとりで後は幕下以下。自分より強い相手を求めて積極的に出稽古し体得することだろう。

 かつて、幕内で活躍した湊富士(現湊親方)という力士は若貴兄弟らがいた全盛期の二子山部屋に一門外ながら連日出稽古した。埼玉県川口市にある湊部屋から遠いため中野のホテルに宿泊したが、「金がかかるだろう。うちの部屋に寝泊まりしたら」と当時の二子山親方(元大関貴ノ花)が声をかけたものだ。

 強くなりたい、という力士なら部屋の枠を越えて育てることが親方の使命でもある。遠藤や同じ境遇の若手も遠慮することはない。一門なら合宿してもいい。協会も交通費支給などで出稽古を積極的にバックアップし、土俵の活性化を図ってほしい。(今村忠)

(紙面から)