2014.3.24 05:00

【甘口辛口】型なし、華なし、ドラマなし… 鶴竜“ないない尽くし”での横綱昇進に物申す

■3月24日

 鶴竜が横綱になるとは思いもよらなかった。なにしろ平成24年夏場所で大関に昇進後、昨年九州場所までの10場所で2桁勝ったのは3場所で、それも11勝が最高。8勝7敗が3場所もあり勝ち越すのがやっとで、はたいたり引いたりのイメージが強い大関だったからだ。それが2場所連続14勝。まさに“突然変異”ではある。

 父親がモンゴルの科学技術大学の教授で、少年時代の鶴竜は優等生だったという。確かに、まじめそうで物静かな雰囲気を漂わせる力士だ。とはいえ、横綱には不可欠な「華」というのも感じられないし、昇進には付きものの人の心を打つ感動的なドラマもなかった。

 白鵬には右四つ、日馬富士には突き刺すような立ち合いの踏み込みという型がある。しかし、鶴竜にはこれという型がない。「いろんなことができるが、自分の型がないから安定感には欠ける。いっぺんに出る圧力もないから、上がったら相当苦労するのではないか」という親方もいる。こんな“ないない尽くし”の横綱も珍しい。

 わずか2場所の成績で横綱昇進を決めることが妥当なのか、改めて考えさせられる。横綱審議委員を約10年務めた内館牧子氏は「1年のような長いスパンで本当の実力を見極めて決めるべき」が持論だった。「春場所は13勝の優勝」などと横審が綱とり条件を簡単に口にする風潮もよくない。数字に表れないところを見るのが横審の使命のはずだ。

 きょうの横審では「NO」の答申はまずないだろうが、「もう1場所見たい」という選択肢があってもいい。かつて貴乃花は全勝優勝で見送られた。鶴竜を魅力ある力士として、より大きく育てるためにはそれも必要ではないのか。 (今村忠)

(紙面から)