2021.5.16 12:00

【球界ここだけの話(2325)】ソフトバンク・甲斐野のリハビリを支えた1年目の栄光

【球界ここだけの話(2325)】

ソフトバンク・甲斐野のリハビリを支えた1年目の栄光

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キャッチボールをするソフトバンク・甲斐野

キャッチボールをするソフトバンク・甲斐野【拡大】

 ソフトバンク・甲斐野央投手(24)が8日に、四国IL高知との3軍戦(タマホーム筑後)に先発登板した。右肘手術を乗り越えた10カ月ぶりの実戦マウンド。150キロを超える直球を投げ込み、1回無失点に抑えた。

 2020年2月に右肘痛を発症。昨季はウエスタン・リーグでも1試合登板に終わった。そして12月には右肘にメスを入れて、慎重にリハビリを重ねてきた。「1年半のリハビリ。よくなって悪くなっての繰り返しだった」と振り返る日々。右腕で箸すら持てなければ、曲げれば痛む右肘では風呂で頭を洗うこともできなかった。「本当に何もできなかった」-。

 心と体を支えてくれたものは何だったのか。モチベーションを問うと、忘れられない栄光なんだと甲斐野は言った。

 「1年目にあんなにいい経験をさせてもらった。僕の中では(けがをして)どん底だった。天国から地獄を味わっている中、あの1年目の経験が感触的に忘れられないので。あそこに戻りたいです」

 19年に東洋大からドラフト1位で入団すると1年目から65試合に登板。2勝5敗8セーブ、防御率4・14でブルペンを支えると秋には侍ジャパンに選出されて世界一を味わった。「あれ以上になりたいという思いでやってきた」。1軍の舞台で野球ができる感謝も、チームの勝利に貢献できる喜びも、全てを知ってしまった。だったらもう、再びそこを目指すだけなんだと強調した。

 今年1月には1歳年上の一般女性と結婚。「僕がテレビとか、グラウンドでプレーしている姿を一番見たいと思っている存在だと思う。頑張りたいですよね」と照れ笑いだ。自分だけのものではなくなった野球人生だから、地道なリハビリだって向き合うことができる。

 「見返すじゃないですけど『甲斐野、リハビリの期間で頑張っていたんだな。レベルアップして帰ってきているわ』と思ってもらえるように」

 りりしい表情で約束した。自分のためにも、守りたい人たちのためにも。もう一度、栄光の舞台を目指す。(竹村岳)