2021.4.9 12:00

【ベテラン記者コラム(131)】20歳からエースの上野、ソフトボールに予算がつくように祈る

【ベテラン記者コラム(131)】

20歳からエースの上野、ソフトボールに予算がつくように祈る

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上野由岐子

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 ソフトボール女子日本代表のエース、上野由岐子が4日に行われた日本リーグの豊田自動織機戦(兵庫・尼崎市)で今季初登板初先発したが、0-0の延長九回途中で右脇腹を痛めて途中降板した。2死を取った後に急に痛みを感じたという。

 38歳の大ベテランだけに心配されたが、6日に東京都内の病院で検査を受けた結果、「右脇腹の肉離れ」と診断された。全治約3週間で、東京五輪には影響がない見込みだという。まずは一安心だ。

 東京五輪代表の投手陣は、上野と藤田倭(30)の両右腕に加え、20歳の後藤希友の3人。3大会ぶりの五輪に向けて宇津木麗華監督(57)は「上野は投げる体力がある投手で、どんなに疲れていても(球速)110キロを投げられる。藤田は上野とタイプが違うエース格。3人目は左のワンポイントとして後藤を選んだ」と説明している。

 20歳だった2002年の世界選手権から日本代表のエースとして活躍してきた上野がいまなお健在なのは驚異としか言いようがない。世界トップクラスの豪速球投手として2000年のシドニー五輪でも代表入りが期待されていたが、九州女高(現福岡大若葉高)2年だった1999年に体育の授業中に腰椎骨折の重傷を負って断念せざるをえなかったことは有名だ。

 その前年(1998年)に静岡・富士宮市で開催された世界選手権ではライズボールの高山樹里、ナックルボールの藤井由宮子が日本代表の二枚看板だったが、将来のエースとして当時高校1年だった上野の名前がよく挙がっていた。この大会で日本は3位となり、シドニー五輪の出場権を獲得。決勝は米国とオーストラリアの対決になったが、まさかの展開になった。

 ものすごく強い雨の中、午後6時半にプレーボールがかかったが、すぐに中断。とても試合ができるような状況ではなかったが、両軍とも引き揚げる様子はまったくない。大会事務局に確認すると、試合を後日に順延すると帰国便を変更しなければならないが、変更不可の格安チケットを利用しているため、なにがなんでも予定どおりの便で帰りたいというのが理由だった。

 結局、5時間50分も中断して、日付が変わってやや小降りになってから再開。米国が1-0で勝ち、試合が終了したのはなんと真夜中の午前1時58分だった。泥んこになった選手たちは着替えもそこそこに、富士宮からバスで成田空港へ向かい、なんとか予定の飛行機で帰国できたそうだ。キャンセル料を払う余裕はなかったとのことで、マイナー競技では米国やオーストラリアといえども予算が少ないのだ。

 あれから23年。東京五輪で3大会ぶりに実施されるソフトボールだが、次の2024年パリ五輪では再び除外されることになっている。また選手たちを取り巻く境遇は変わるかもしれない。なんとか予算がたっぷりつく競技であってほしい。(牧慈)