【球界ここだけの話(2246)】
DeNA・三浦監督【拡大】
DeNAが走る、走る。盗塁、エンドラン、送りバント。キャンプ中盤から始まった実戦で、昨季まであまり見られなかった光景が何度も繰り返されている。
今季、新たに就任した三浦大輔監督(47)は、その狙いをこう語る。
「やってみないことには、何ができて何ができなかったのかわからない。やってみて見つかった課題をつぶすように練習で取り組んでいければいい」
勘違いしている人も多いように思うが、重要なことは『番長野球=スモールベースボール』ではないということ。比較的狭い本拠地で強打を武器にするチームだけに、「柔軟な戦術」を掲げる指揮官は、公式戦になれば状況次第で犠打や盗塁を一切しない試合も想定している。何度でも失敗が許される今だからこそ、挑戦を求めているのだ。
だが、ラミレス前監督が指揮を執った昨季まで犠打数は5年連続、盗塁数は2年連続でリーグ最少だったチームの意識を変えることは容易ではない。それは三浦監督自身が一番理解している。
「そう簡単には変わらないですよ。意識を変えるためには、何度も積み重ねていかないと」
だからこそ、走る。ここまで対外試合6試合で21度の盗塁を仕掛け、成功は7度。実に3分の2が失敗に終わっている。それがこのチームの現状だ。取り組み始めたからといって、すぐ劇的に走力が上がるわけではない。それだけ難しい「意識改革」に挑戦しているということである。
昨季はリーグ1位の打率・266、同1位タイの135本塁打をマークしながら、得点数は同3位の516点にとどまり、2年ぶりのBクラスとなる4位に沈んだ。逆襲の鍵を握るのは「得点力」の向上。まさに今は、その選択肢を広げている状況にある。
全ては自身が現役時代に味わった、1998年以来の歓喜を横浜にもたらすため。「やっぱり優勝できなかったということは、何かが足らなかったということ」。その“何か”を追い求め、ハマの番長の挑戦は続く。(浜浦日向)