「基礎の部分をまずしっかりと作り上げて、そこから枝葉を出して花を咲かせる。そういう植えつけは、ある程度、できたんじゃないか」
最後の特守では、選手の目の色が明らかに変わっていた。川相コーチの「さぁ、ホームゲッツー! 当たり前のように捕れ」の檄に、三塁を守るD1位・佐藤輝(近大)が踊るようなグラブさばきを見せる。飛び入り参加の虎将が「ガッツ、ガッツ!」と励ます。それぞれが定位置につき、10回りのノック。糸原を中心に厳しく優しい声を選手同士で飛ばし合いながらノーミスで終えた。
「僕は(守備が)よくなると信じていますし、もしよくなかったら、僕の指導が悪かったんじゃないかな、と思います」
昨季12球団最少の43失策だった巨人との差を埋める。矢野監督は「球団の垣根も取っ払ってもらって。本当に良かった。感謝しています」と頭を下げた。川相コーチは佐藤輝らと個別面談し、内野陣で記念撮影。宜野座を離れるが、タテジマと深い絆で結ばれた。秋は古巣の3連覇じゃない。16年ぶりの美酒を味わう。(阿部祐亮)
★川相臨時コーチから指導を受けた阪神ナインの声
木浪「継続してやることが川相さんへの恩返しだと思う。自分がうまくなるために継続していくことが大事。基礎をたたきこんで、基礎が大事だなと思いました」
D1位・佐藤輝(近大)「基礎の部分を教わったので。川相さんがいなくなっても、やっていきたい」
D6位・中野(三菱自動車岡崎)「非常にいい勉強になったと思います。考え方とかで新たな発見があったので、継続していけたら」