【なるべく週刊エモト】
江本孟紀氏【拡大】
「意味はあるのかね?」。沖縄県でキャンプ行脚中の本紙専属評論家・江本孟紀氏(73)が、疑問を投げかけた。それは今年話題となった、臨時コーチのありかただ。 (構成・内井義隆)
--沖縄県は天候もよく、キャンプ日和ですね
「雨も降らず、またとない好条件だけに、かえすがえすも、コロナ禍による無観客キャンプが残念だよ。ファン不在で行うキャンプの意味を、考えさせられるぞ」
--もったいない…
「もうひとつ、考えてしまうのが、今年のキャンプで話題を集めた臨時コーチの存在だ。あれ、意味があるのかね」
--と、いいますと
「ある関係者は『臨時コーチが来ると、品評会や発表会になりがちなんです』と言っていた。自分なりに練りに練ってきた練習法とか、ちょっと目先の変わった指導法とかを、どうですか、とばかりに発表する場になっている、とね」
--メディアにも大きく取り扱われますから
「だから余計、力が入るんだろう。ただ、それでは選手は混乱すると思うぞ。あくまでキャンプ期間だけで、シーズンを通して見てもらえるわけではない。既存のコーチの練習・指導法とも、違うわけだからね」
--いわれてみれば…
「エモトの南海時代にも、バリバリの元メジャーリーグのピッチャーだったハディックスが、臨時投手コーチで来日。当時の日本にはなかったクイックモーションとか、牽制球の素早い投げ方やバリエーションなどを、集中して教えてもらった。チーム全体、大いにプラスになったよ」
--そうでしたか
「今の日本でいえば、例えば若松勉(本紙専属評論家、ヤクルト臨時コーチ)だ。毎年、“強化指定選手”を絞って、集中的に教えている。また若松には、卓越したバッティング技術と理論がある」
--はい
「要するに、だ。必要な技術を、必要としている選手に、ピンポイントで叩き込む。それでこそ、臨時コーチなんだ。誰にも彼にも、何でもかんでも…では意味がない。それならば、正規のコーチに任せておくべきだと思うね」