2021.1.22 12:00

【球界ここだけの話(2213)】キャンプでもファンは戦力

【球界ここだけの話(2213)】

キャンプでもファンは戦力

特集:
サンスポ記者の球界ここだけの話

 新型コロナウイルスの感染が拡大する宮崎、沖縄両県からの要請で、12球団のキャンプは無観客でスタートする。感染状況が好転すれば観客を入れることが検討されるものの、可能性は低い。今年のキャンプは風景は一変しそうだ。

 キャンプは長丁場のシーズンを乗り切る体をつくる個人練習に始まり、日がたつにつれてチームプレー、実戦形式と内容が濃くなってくる。練習は観客がいてもいなくても同じように思えるが、そうではないらしい。1994-98年に広島を指揮した、故三村敏之元監督の言葉を思い出した。

 「巨人はいいよね。練習から多くのファンが見ているからね」

 巨人担当時代、チームの練習休日にデスクから「違うチームのキャンプを見てこいよ」と助言され、宮崎市から車で1時間半ほど離れた日南市で行われている広島のキャンプを訪れた。

 練習の違いはすぐに分かった。ベースランニングは野手だけでなく、投手も全力でベース1周。チームが掲げる“機動力野球”の源を垣間見る気がした。巨人担当であることを明かした上で申し込んだインタビューで出てきた言葉が、「巨人はいいよね…」だった。

 巨人のキャンプ施設がある宮崎県総合運動公園にはファンがあふれ、後方から観客4万人と発表される日もあった。ちなみに、当時メイン球場だった宮崎市民球場(現ひむかスタジアム)の収容能力は1万5000人。一方、広島は今でこそ人気球団だが、キャンプを行う天福球場は当時、バックネット裏ですら石段しかなかった(現在は改修され、2000人収容のスタンド席がある)。

 三村監督は、こう続けた。

 「うちには、お客さんが少ないからといって練習で手を抜く選手はいないよ。でも、練習から見られていると、より緊張感が生まれる。こればかりは、選手がいくら頑張ってもどうしようもないことだからね」

 例えばノッカーのコーチと1対1で行う特守。最初は元気いっぱいでも100球を超える頃には息が上がり、足は動かなくなる。ノッカーの「あと10球続けて捕れたら終わり」の声に、遠巻きに見守るファンが「頑張れ!!」と声援を送る。これが力になって打球に食らいつき、球際の強さにつながっていく。

 今年のキャンプは球場での“ファンの後押し”が期待できない。選手が何を力に変えるのか、注目したい。(松尾雅博)