2020.12.17 12:24

【球界ここだけの話(2177)】日本シリーズで感じたソフトバンクと巨人の決定的な「差」

【球界ここだけの話(2177)】

日本シリーズで感じたソフトバンクと巨人の決定的な「差」

特集:
サンスポ記者の球界ここだけの話
プロ野球日本シリーズ、ソフトバンク-巨人、第4戦 優勝して喜ぶソフトバンクとベンチで悔しそうな巨人=11月25日、ペイペイドーム

プロ野球日本シリーズ、ソフトバンク-巨人、第4戦 優勝して喜ぶソフトバンクとベンチで悔しそうな巨人=11月25日、ペイペイドーム【拡大】

 これが「世界一」を目指すチームとの差なのかと痛感させられた。日本シリーズでは昨年に続き巨人がソフトバンクに4戦全敗。正直、試合前の練習一つとってもレベルの差が明らかだった。

 ソフトバンクの選手は機敏で躍動感があり、ボール回しは巨人よりも強くて正確。いい加減なプレーをする選手は勝負の土俵にすら立てない雰囲気が漂っていた。思わず、隣にいた同じ巨人担当の記者と目を見合わせたほど。巨人のシートノックでは外野からの返球のバウンドが合わず、内野手が取れない場面も散見された。

 そこで思い出したのが、ソフトバンク・三笠杉彦GMを取材した際に聞いた「僕らはチームとして世界一になりたい」という言葉だった。実はこの「世界一」というフレーズは、2005年に球団を買収した時点から孫正義オーナーが掲げているもの。ここ10年で7度の日本一が示すように、現場、フロントが本気で「世界一」を目指した結果が今の強さにつながっているのだろう。

 かつて両球団はポスティングシステムの利用を認めないという点で共通していた。巨人は昨オフから容認に変わったが、ソフトバンクは現在も一貫している。譲渡金をあてにしなくてもいい潤沢なマネーが背景にはあるが、三笠GMは「FAは選手の権利で、これは球団の権利。世界一のチームを目指す以上、編成としていい選手を残すのは当然」と言い切る。

 ソフトバンクは育成、補強に注力するだけでなく、科学技術やビジネス、金融、生体力学など多様な分野の専門家を求めている。三笠GM自身、東大を経て英国でMBAを取得したエリート。ほかにもハーバード大出身の元メジャースカウトを獲得したりと、人材の確保に余念がない。

 巨人には球団創設者・正力松太郎氏の遺訓「巨人軍憲章」がある。「巨人軍は常に紳士たれ」「巨人軍は常に強くあれ」「巨人軍はアメリカ野球に追いつき、そして追い越せ」-。そもそも世界一を目指すことが宿命づけられていたのは巨人だったはず。ソフトバンクが世界一を目指す以上、巨人も原点に立ち返らなければ日本一の返り咲きもない。(伊藤昇)