2020.11.6 12:00

【ベテラン記者コラム(66)】1面は巨人かQちゃんか

【ベテラン記者コラム(66)】

1面は巨人かQちゃんか

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サヨナラ本塁打を放った巨人・二岡は万歳

サヨナラ本塁打を放った巨人・二岡は万歳【拡大】

 プロ野球はセ、パ両リーグとも優勝が決まり、シーズンも最終盤となっている。

 ソフトバンクは10月27日にパ・リーグ優勝を決め、翌28日付のサンケイスポーツは甲斐拓也捕手の独占手記や石川柊太投手とももいろクローバーZ・佐々木彩夏さんの対談などの企画を掲載。巨人は30日にセ・リーグ優勝を決め、サンスポでは主将の坂本勇人内野手の独占手記などが紙面を飾った。

 こうした優勝決定用の記事や企画は事前に準備しておくのだが、やはり生に勝るドラマはない。そのことを実感したのが20年前のこと。2000年9月24日に巨人がセ・リーグ優勝を決めたときだ。

 この日は早朝6時45分号砲のシドニー五輪陸上女子マラソンで高橋尚子が金メダルを獲得。日曜の朝から日本中がその快挙に沸き立っていた。巨人担当のペーペーだった筆者は昼前には東京ドームのプレスルームに着いていたが、テレビはもちろんQちゃん一色だった。

 マジック1で迎えた中日戦は九回表を終えて0-4で敗色ムード。きょうの優勝決定はないなとのんびりと記者席で試合を見ていたら、ご存じのとおり、その裏に江藤智の同点満塁本塁打、続く二岡智宏のサヨナラ本塁打が飛び出して、劇的に優勝が決まった。

 さあ最終版の1面はどうするか。日本勢初の五輪マラソン金メダルを獲得した高橋尚子はもちろん早版の1面だった。巨人のセ・リーグ優勝は実に29度目だけど、決まり方があまりに劇的。侃々諤々あって、最終版1面は巨人に決定し、朝からずっと騒がれ続けていたQちゃんは終面(裏1面)となった。時間的により生に近い方を選んだわけだ。

 仁志敏久内野手の独占手記などを用意していたが、江藤-二岡の連続アーチがドラマチックだったので、急きょ紙面コンテを変更して、1ページを割くことに。ただ、興奮さめやらぬままビールかけ会場に急ぐ江藤、二岡両選手にはほんの一言だけコメントを聞くのが精いっぱいだった。

 ただし、これは東京版の話。大阪版は宿敵ジャイアンツよりもマラソン金メダルの偉業をたたえ、高橋尚子が1面、巨人優勝が終面だった。(牧慈)