2020.10.31 07:30

【近大・佐藤輝の輝く黄金伝説】(4)スタンドティーでホームから「3階校舎弾」 母校・恩師が仰天エピソードを披露

【近大・佐藤輝の輝く黄金伝説】

(4)スタンドティーでホームから「3階校舎弾」 母校・恩師が仰天エピソードを披露

近畿大・佐藤輝明

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 阪神からドラフト1位指名された近大・佐藤輝明内野手(21)の連載第4回は、母校・仁川学院高野球部の中尾和光部長(41)と辻元伸一監督(46)が高校時代の仰天エピソードを披露。規格外のパワーは当時からすごかった。

 高校2年の自主練習中。佐藤輝はバツが悪そうな顔で、職員室の扉をノックした。「すみません、窓ガラスを割ってしまいました」。当時、野球部の監督だった中尾部長は理由を聞いて目を丸くした。

 「何してんのって聞いたら『スタンドティーやってて』と。どこからやって聞いたら『ホームから』。それ以上、何も言えないですよね。叱ることなんてできません。すげえな、ナイスバッティングやなと。普通、そこまで飛ばないです」

 仁川学院高のグラウンドが決して狭いわけではない。ホームから右翼方向にある校舎までは約100メートル。しかも、2階までは防球対策で窓ガラスに金網が設置されている。つまり、佐藤輝はスタンドティーでホームから校舎3階まで、白球をぶっ飛ばしたのだ。

 その年の冬から取り組んだ肉体改造のかいあって、高校3年時からホームランを量産した。高校通算20発のうち、15本が3年生になってから放ったもの。辻元監督は「すべての弾道が一緒。いったなと。糸を引くという感じ」と振り返る。

 打った瞬間分かる、まさにアーチストの放物線。3年生になって放ったホームランはすべて3階校舎まで飛んでいった。中尾部長は「僕らはヒヤヒヤ。頼むからガラス割らんといてという感じでした。(高校時代の佐藤輝は)無名と言われますけど、練習試合の対戦相手からは『ひとり大学生が混じっとる』とよく言われました」。ドライチスラッガーの片鱗(へんりん)を高校時代から感じさせていた。

 仁川学院高で“3階校舎弾”を放ったのは、後にも先にも佐藤輝しかいない。プロ入りが決まった教え子に、辻元監督が「僕から見たら遠すぎる存在ですね。うれしいけどさみしいところもある」と話せば、中尾部長も「また高校にも帰ってきてほしい。人を大事にしてくれたらうれしいですね。そういう気持ちを忘れないでほしい」と感慨深くうなずいた。校舎に向けて放ったたくさんのアーチ。今度は、満員の虎党が待つ甲子園のライトスタンドに向かって、大きな放物線を架ける。(特別取材班)