2020.10.27 12:55

【球界ここだけの話(2128)】育成はただの“支配下未満”じゃない…巨人が目指す育成戦略の大転換とは

【球界ここだけの話(2128)】

育成はただの“支配下未満”じゃない…巨人が目指す育成戦略の大転換とは

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サンスポ記者の球界ここだけの話

 26日のドラフト会議で、巨人は支配下7人、育成12人を指名した。2005年の育成ドラフト開始以降、12人は史上最多だ。大塚球団副代表は「今年が発掘と育成の元年だと思っている。血の入れ替えは必要」と言い切った。

 こうした大量指名の背景には“支配下未満”というイメージを大きく変える、巨人の育成戦略の転換がある。今年でいえば、岡本大翔内野手(米子東高)や笠島尚樹投手(敦賀気比高)ら、高校生の有望株を育成の上位で指名。球団はファームでじっくり鍛え、数年後に1軍の主力まで育て上げたい考えだ。同副代表は「3、4年後のドラフト1位を指名した」と狙いを明かした。

 これまでのドラフト戦略では枠の制限もあって指名を見送られる未完の大器も多かった。スカウトに話を聞くと、「才能が開花したら、その時に指名すればいい」という球団がほとんど。生き残りが厳しいプロの世界のことを考えれば「一度、大学さんにあずけて様子を見た方がいい子もいる」と話すスカウトもいた。

 こうした風潮に待ったをかけたのが巨人だ。これまで指名を見送ってきた有望株を育成で獲得し、プロのノウハウが詰まった練習環境で成長を促す。いわば、大学などが受け皿となってきた“プロ予備軍”を積極的に入団させ、自前で育成する方針にシフトしている。

 すでに報道されているように、巨人は20人以上のOBスカウトと契約し、全国にスカウト網を構築。有望な小・中学生の情報収集の強化にあたっている。また、今年の入団テストには独立リーグの選手などに積極的に声をかけるなど、発掘にも力を注いでいる。

 ただ、育成での入団は選手側にまだ抵抗感が強く、入団拒否が続出してもおかしくない。こうした事態を防ぐには明確なビジョンの説明や、今後、育成からしっかりと主力に育て上げたという“実績”も球団側には求められそうだ。

 もちろん成長のタイミングは人それぞれ。大学に進学してドラフト1位で入団すれば、1億円を超える契約金を手にすることもできる。少しでも早くプロの世界に飛び込むか、それともアマチュアで力を蓄えてからプロ入りするか。どちらを選ぶかは選手次第だが、選択肢が増えることは球界にも選手にもプラスだろう。(伊藤昇)