2020.10.26 12:00

【球界ここだけの話(2127)】広島カープを動かした地元高校生の手紙

【球界ここだけの話(2127)】

広島カープを動かした地元高校生の手紙

特集:
サンスポ記者の球界ここだけの話

 昨年末、広島市南区のマツダスタジアムに隣接する球団事務所に届いた1通の手紙が松田元オーナー(69)の胸を熱くした。

 「ALS(アミトロフィック・ラテラール・スクレローシス=筋萎縮性側索硬化症)やほかの難病と闘う人たちがいることを多くの人に知ってもらいたい」

 手紙を送ったのは広島県尾道市の広島県立御調(みつぎ)高で当時生徒会会長だった角森巴海(かくもり・ともみ)さん(3年)=この夏に任期満了で退任=。同校では教頭の長岡貴宣さんが2017年にALSの治療のため休職。生徒会は募金活動や分身型ロボット「OriHime(オリヒメ)」の開発者の吉藤健太朗氏の講演会を行うなどして支援の輪を広げている。

 10月17日の広島-中日19回戦(マツダ)で、御調高とカープがタッグを組み「ALS啓発イベント」が実現。球場内のコンコースの一角に「ALSという病気を知っていますか?」をテーマにしたポスターを掲示し、「オリヒメアイ」の体験コーナーが設営された。角森さんは始球式を行い「始球式やブースを出していただきうれしい」と感謝した。

 ALSは筋肉が徐々に衰えていく進行性の疾患で原因や治療方法がわかっていない。元広島の故・衣笠祥雄氏(2018年死去、享年71)が更新するまで2130連続試合出場の世界記録保持者だった元ヤンキースのルー・ゲーリック氏(1903-41年、享年37)の現役引退の原因となった難病で「ルー・ゲーリック病」としても知られる。

 2014年頃には世界的に「ALS研究に寄付する」か「バケツに入った氷水を頭からかぶる」か「その両方」のいずれかを24時間以内に選択する「アイス・バケツ・チャレンジ」が流行するなど認知度は高まっている。

 「福祉に興味を持つ人が増えたらうれしい。できれば毎年、マツダスタジアムでこのイベントを続けたい」と角森さん。難病支援に立ち上がった御調高の生徒会の熱い思いが地元の人気球団を動かした。(柏村翔)