2020.7.30 12:00

【球界ここだけの話(2040)】ヤクルト・川端、心を動かす復活劇 栄光も苦しみも知った32歳がサヨナラ打

【球界ここだけの話(2040)】

ヤクルト・川端、心を動かす復活劇 栄光も苦しみも知った32歳がサヨナラ打

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サンスポ記者の球界ここだけの話
巨人戦でサヨナラ打を放ったヤクルト・川端=7月25日、神宮球場(撮影・今野顕)

巨人戦でサヨナラ打を放ったヤクルト・川端=7月25日、神宮球場(撮影・今野顕)【拡大】

 苦しんだ分だけ、心を動かす復活劇だった。ヤクルト・川端慎吾内野手(32)が、7月25日の巨人7回戦(神宮)でサヨナラ打を放った。同点で迎えた九回1死満塁から代打で左前適時打し、試合を決めた。

 打席に向かう際には、大きな拍手で迎えられた。「正直、めちゃくちゃ緊張して、足が震えていました。拍手? それがあんまり覚えてないんですよ。それぐらい、集中していたってことでしょうか。打った瞬間にようやく聞こえてきました」と充実感とともに振り返った。

 誰もが「天才」と呼ぶバットコントロール。2015年に首位打者、最多安打のタイトルを獲得した打者が、苦しみ抜いてきた。17年の春季キャンプ中に椎間板ヘルニアを発症し、同年8月に腰を手術。翌18年は97試合に出場したが、4年契約の最終年だった昨季は腰の状態が上がらず、37試合で打率・164、0本塁打、7打点に終わっていた。

 「きつかったですね。納得のいくバッティングができていないですし、自分の打球を見ていても情けないと思う」

 『打球が情けない』という表現に、歯がゆさがにじみ出ていた。とらえたと思っても、外野まで飛ばない。抜けたと思った打球が、内野ゴロになった。オフの間もフォーム改造に取り組むなど試行錯誤を続けた末、大きな決断を下す。今年1月8日、徳島市内の病院で腰を手術。近藤(日本ハム)らが受けた病院でメスを入れ、リハビリを乗り越えてきた。冒頭のサヨナラ打は三遊間を鋭い打球が抜ける、川端らしい巧みな一打だった。

 定位置をつかみ始めた20代前半。「昨日、ユニホームを着たままで、球場から走って逃げ出す夢を見ました。グラブとバットだけ持っていましたね」と笑ったことがあった。栄光も、苦しみも知った32歳。今はどんな夢を見るのか、聞いてみたいと思う。(長崎右)