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【よみがえるノムラの金言】野村克也氏「盗むのはベースではない、投手のモーションである」

【よみがえるノムラの金言】

野村克也氏「盗むのはベースではない、投手のモーションである」

特集:
よみがえるノムラの金言
さようなら 野村克也さん追悼
ソフトバンクが広島を下した2018年の日本シリーズで、甲斐は6度の盗塁を刺す活躍を見せ、MVPを受賞した

ソフトバンクが広島を下した2018年の日本シリーズで、甲斐は6度の盗塁を刺す活躍を見せ、MVPを受賞した【拡大】

 盗むとは? 防ぐとは? もちろん、犯罪ではなく野球の話。2月11日に急逝した野村克也さん(享年84)が、サンケイスポーツ専属評論家として本紙に残した金言を振り返るヘリテージ(遺産)連載。今回は「盗むのはベースではない」。この設問と答えの意味や、いかに。(構成=内井義隆)

 盗む。刺す。殺す…。ミステリー小説かと間違えるくらい、野球用語には物騒なものが多い。その文字の裏に潜む真実を“名探偵”ノムさんが解き明かしてくれた。

 2018年11月3日の『ノムラの考え』。日本シリーズ第6戦で、ソフトバンクが広島を4勝1敗1分けで下し、日本一になった試合だ。

 このシリーズは「甲斐キャノン」一色。ソフトバンク・甲斐拓也捕手が、広島の企てた6度の盗塁を全て刺し、MVPに輝いたからだ。

 ノムさんも、その二塁送球術を称賛した。

 6度刺したうち、左打者が打席に立っていたのは5度。通常なら打者が邪魔になって投げにくいケース。

 しかし、甲斐は捕球すると瞬時に、三塁側へステップできる。フットワークのよさが正しい送球姿勢につながり、コンパクトなスローイングと、正確なコントロールを生む。盗塁を刺すのは「肩」ではなく、まず「足」だ、と解説した。

 実は以前から、気にかける存在だった。

 ノムさんはテスト生で、ソフトバンクの前身球団・南海に入団。甲斐は育成ドラフトで入団。ともに母子家庭で育った。境遇が似ている上に、甲斐はノムさんの著書を読みふけっていることでも有名。この年の春季キャンプでは、対談が実現している。

 そんなホークスの捕手の後輩が、大舞台でお立ち台。さすがに今回は、賛辞のオンパレードかと思いきや…。

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  • 通算1065盗塁を記録した福本豊(右)の存在が、バッテリーの盗塁阻止術を向上させたという。左は南海時代の野村さん=1975年8月14日