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【よみがえるノムラの金言】野村克也氏「1つのボールが試合を動かす」

【よみがえるノムラの金言】

野村克也氏「1つのボールが試合を動かす」

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さようなら 野村克也さん追悼
2013年8月29日の巨人戦で、けん制に刺される鳥谷

2013年8月29日の巨人戦で、けん制に刺される鳥谷【拡大】

 選手心理と野球の本質-。2月11日に急逝した野村克也さん(享年84)が、サンケイスポーツ専属評論家として本紙に残した言葉を振り返る、ヘリテージ(遺産)連載。プロ野球開幕後、最初のテーマは「1つのボールが試合を動かす」。存命なら6月29日が85歳の誕生日だったノムさんから、「そうでした…」と、うならされる金言だ。(構成・内井義隆)

 いきなり、ノムさんからクエスチョン。

 「野球というスポーツの主役は?」

 恐らく全員、「選手」と即答するはず。もちろん、ピンポーン。

 「ただし、答えはもう1つある」

 そこに気付かせてくれたのが、2013年8月29日の巨人-阪神(東京ドーム)。『ノムラの考え』だった。

 阪神の一回の攻撃。1死一、二塁で、打席に4番のマット・マートン外野手。首位・巨人とは7ゲーム差をつけられている。これ以上、引き離されれば、9月の声を前にして、“秋風”がビュービュー吹く。何が何でも先取点がほしい。

 そんな状況にもかかわらず、一塁走者の鳥谷敬内野手(現ロッテ)が、沢村拓一投手のけん制に刺されてしまう。

 それも、ボールが一塁手のホセ・ロペス内野手(現DeNA)のミットに収まってから帰塁した…。そう映るくらい、無警戒だった。

 「思い込み以外の何物でもない。注意と神経が行き届いていない」

 ノムさんも思わず、頭を抱えたほどだ。

 投手は通常、本塁に近い方の走者を、けん制する。今回の場合でいえば、シングルヒットで生還させないよう、リードを大きくとらせないよう、二塁走者に目を光らせる。その思い込みが不注意、無警戒を招く-。

 そう解き明かし、南海監督時代(1970-77年)に駆使したサインプレーを紹介してくれた。

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  • 南海の捕手兼任監督時代の野村氏(右)。満塁で二走のけん制刺を狙うサインプレーも駆使していた