最速163キロ右腕、ロッテのドラフト1位・佐々木朗希投手(18)=大船渡高=が5月26日、本拠地ZOZOマリンで行われたシート打撃に登板。打者3人と対戦し、菅野に本塁打を浴びたものの、藤岡と福田光は空振り三振に仕留め、160キロを2度マーク。圧巻の快投を披露した。実戦デビューは、6月19日からの開幕前の練習試合での予定だったが、登板は回避に。吉井投手コーチは「強度が急に上がったので、その後の回復、反応がどうなのかなとみていたんですけど、思った以上に(体が元の状態に)帰ってこない。メディカルの方からも、まだ十分に中身が成長しきっていないので、それで強度が強くなると大きな故障につながる可能性があるといわれている。160キロぐらいを出してしまうと、今の体ではたぶん持たないと思う」と説明した。
佐々木朗が高校生だった1年前、取材したときに聞いたある言葉を思い出した。
「状態がよくなかったわけではないが、3年間で一番壊れる可能性が高いと思った。投球間隔や気温もある。故障を防ぐため。私が判断した」
2019年7月25日の岩手大会決勝戦で、佐々木朗の登板はせず、花巻東に敗退。大船渡の国保陽平監督が登板をさせなかった理由について語った言葉だ。高校球界最速163キロを誇り、「日本の宝」とまで言われた逸材を指導する監督として、将来のこと考えての苦渋の決断だった。プロ顔負けの剛速球を投げる一方で、体はまだ未完成。前日24日の準決勝で、炎天下の中、129球を投げ抜き体力を消耗していた。真夏の連投は、最速163キロの剛速球を投げ、成長過程の高校生にとって体への負荷が大きいとの判断だった。
佐々木朗は「投げたい気持ちもあった」と本音を吐露しながらも、「すごくありがたいことだと思う。自分も将来、活躍したいと思う」と恩師の決断を理解した。
この時は、登板させなかったことが正解か、甲子園をかけた大一番だっただけに、登板させるべきだったんじゃないかと賛否両論で意見がわかれた。あれから1年の月日が経ち、プロという世界に飛び込み、一から体を鍛えた。それでも、160キロを超えるボールを投げることの負荷は、18歳の体への反動が大きいと改めて判断された。
体ができていない中での163キロ。佐々木朗の投じる1球1球は見る人をとりこにする。体がしっかりと出来上がれば、大谷翔平(現エンゼルス)がマークしたプロ野球の最速記録165キロ超えも夢ではない。今年1月からは、ロッテと同じパ・リーグの西武担当。相手チームにはなるが、体が出来上がり、令和の怪物が1軍の舞台で160キロ台を連発し、打者を圧倒する姿を見たい。あのときの判断が正しかったと誰もが思う日がくること、そして、いつの日かスコアボードに170キロが表示されることに期待したい。(樋口航)