2020.2.19 13:08

【球界ここだけの話(1886)】ヤクルト・寺島、4年目の現在地 生まれ変わった姿で勝負のシーズンへ

【球界ここだけの話(1886)】

ヤクルト・寺島、4年目の現在地 生まれ変わった姿で勝負のシーズンへ

特集:
サンスポ記者の球界ここだけの話
ヤクルト・寺島成輝

ヤクルト・寺島成輝【拡大】

 21歳になった青年の表情に、りりしさを感じた。4年目を迎えたヤクルト・寺島成輝投手(21)。いまだプロ未勝利のかつてのドラ1左腕は、いま何を思うのか。

 「1年目は、何のことかもわからない感じで終わって、2年目は慣れが出てきて、ファームで7勝ぐらいして、ちょっといけるかなと思った部分がありました。でも、3年目の初っぱなに肘を痛めて、離脱して。また出遅れて。なんかこうパッとしないというか。行ったり来たりみたいなことをして。それも実力不足だからなんですけど」

 大阪・履正社高ではエースで主軸。3年時には、作新学院高の今井(現西武)、横浜高の藤平(現楽天)、花咲徳栄高の高橋昂(現広島)とともに『高校ビッグ4』と評された。しなやかなフォームから繰り出される切れのある直球。ここぞの場面では、最速150キロの球が炸裂(さくれつ)した。

 だが、ここまでプロ3年間、思ったような成長曲線を描けていない。もちろん、ここまでの時間がマイナスだったわけではない。得られたものも少なくなかった。だが、胸にこみあげてきたのは「これはもうあかんな」という思いだった。

 だからこそ、恥ずかしさを捨て、勇気を出して一歩を踏み出した。DeNAのエース左腕・今永への“弟子入り”を志願。日本のトップレベルの左腕が行うトレーニングに取り組んだ。

 コンセプトは『セパレーション』-。日本語で言うところの『切り離す、分離』という意味だ。簡単に言えば、上半身を右にひねるのであれば、下半身は左にひねる。その逆もしかり。動きの中で常に反対方向へ動かす意識を持って取り組む。左投手であれば右足が地面に着き、下半身をひねってから上半身が回転して投球する。反対の動きを意識することで、「反動」が生まれ、それが「パワー」となる。今永はそれを「骨を意識して投げる」と表現した。

 「骨を意識することによって、無駄な筋肉、いらない筋肉を使わずに適した筋肉を使える。言っていること難しいんですけど、言われながらトレーニングをすると、こういうことなんだなと納得できる部分がありました」と寺島。このオフに得たものは多かった。

 「今永さんに教えてもらったことをきっかけにしてキャンプも残れたらいいですし、オープン戦も投げられるなら結果を出したいですし、出さないといけない。そういう気持ちは常にもっておかないといけないんですけど、4年目が気持ち的には一番強いです」

 かつて、世間を騒がせた速球はない。いや、そこへのこだわりがなくなったと言える。「見ている人からすれば、『球速おっそ』と思われるかもしれないですけど、そこは気にしないです。(球速を)出せれば絶対いいですけど、4年目にしてスピードがとか言ってられる場合じゃないので。基本となるのは真っすぐですけど、遅くてもバッターがファウルになる、空振りを取れるボールを投げたいです」と口にする。

 かつての「寺島成輝」はいない。だが、新しい「寺島成輝」が生まれつつある。どこか不安を持ちながら、もがいてきた3年間。現状打破のきっかけとなり得る今永との自主トレ。突き詰めた体の動き。「シンプルにごちゃごちゃ考えずに。結果を出すことだけを考えて。バッターを抑えることが一番だと思うので。0を刻むこと。そこを意識して」。あとはマウンドで表現するだけ。勝負の4年目が始まる。(赤尾裕希)