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【江本が語るノムラの記憶】“ボヤキの魔術”、選手を怒らせ燃えさせ能力以上の結果導く

【江本が語るノムラの記憶】

“ボヤキの魔術”、選手を怒らせ燃えさせ能力以上の結果導く

南海時代に野村さん(左)とバッテリーを組んだ江本氏。野村さんは選手の心理を操る術にもたけていた =1973年7月撮影

南海時代に野村さん(左)とバッテリーを組んだ江本氏。野村さんは選手の心理を操る術にもたけていた =1973年7月撮影【拡大】

 この人は、選手の心理を操る“魔術師”か?!

 捕手・野村さんに対しては何度も「なにくそ」と頭に来た。そのたびに「やられた。乗せられた」と脱帽したものだ。

 私が先発した試合。三回、四回あたりになると、ベンチで聞こえよがしに、ボヤキ始める。

 「いいピッチャーやな、あっちは。あのコントロールがあれば、キャッチャーは楽やで」

 (はいはい、確かに俺はノーコンですよ。だけどまだ、四球は1つか2つだし、1点も取られていないじゃないか)

 「なにくそ」と燃えるだけ燃えさせておいて、試合は1-0。私の完封勝利である。

 基本となる「インハイ→アウトロー」の対角線リードだけでなく、ここ一番では「ど真ん中の真っすぐ」を要求されたこともある。それも、投手にとっては「なにくそ」だった。

 現在、アメリカで問題になっている、バッテリー間のサイン盗み。実は1970年代のパ・リーグでも、横行していた。

 スコアボードの一角やバックスクリーン付近に、スタッフが陣取り、センター方向から双眼鏡をのぞき、サインを出す捕手の指を凝視。それをベンチに伝え、ベンチから打者に転送される。

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