2019.12.6 08:00

【小早川毅彦のベースボールカルテ】コーチのオフはこれだけで大変

【小早川毅彦のベースボールカルテ】

コーチのオフはこれだけで大変

特集:
小早川毅彦のベースボールカルテ

 12月に入っても、主力選手は契約更改交渉で新聞やテレビに取り上げられる。監督もイベント出演などで時折見かけるものの、コーチがマスコミに取り上げられることはほどんどない。

 私は2006年から4年間、マーティ・ブラウン監督のもとで広島の打撃コーチを務めた。オフになると家族と一緒に過ごす時間は長かったが、自由な時間を満喫できたわけではない。

 「現役選手にオフはない」が私の持論。特にバッティングは打ち込みや素振りの数をこなすことが大事だ。球団施設が閉鎖される年末年始を除いて、ずっと室内練習場などでトレーニングに励む選手もいる。12、1月は直接指導ができずにもどかしかったが、よく様子をのぞきに行った。

 球団行事やプライベートで選手と顔を合わせると、ユニホームを着ていないからか、立場を気にせずに何でも言い合える雰囲気がある。そういう場を大事にした。現役時代から自分なりに取り入れていたのは、野球以外のスポーツ観戦や映画、舞台などの鑑賞。何か野球のヒントになるものはないかと探していた。

 中には苦になることもあった。まず、球団へ目標の数字を入れたリポートの提出だ。例えば、チーム打率の5厘アップが目標だとすると、三振を減らして四球を増やせばいい。問題は、そのために何をすればいいかだ。さらに、達成できたらチームの総得点がどうなるかまで考えなければならない。今でも同様のことを、1月のスタッフミーティングで発表させている球団があると聞く。

 もう一つはブラウン監督が発案した担当コーチによる選手の評価。打撃は長打力、ミート力など細分化された項目に「S=トップクラス」「A=レギュラークラス」などをつけ、練習内容を添える。目的は1、2軍で情報を共有するためで、各コーチが提出したものが一冊にまとめられて、スタッフはいつでも閲覧することができた。ただ私は正直、ペンを握るよりも、バットを握って体を動かす方が楽だった。

 選手にとってオフは、来季への準備期間。コーチは自分でプレーしない分、個人やチームの目標を見つける期間で、これはこれで大変なのだ。 (サンケイスポーツ専属評論家)