2019.12.4 13:00

【球界ここだけの話(1818)】大谷翔平の「楽しむ」才能

【球界ここだけの話(1818)】

大谷翔平の「楽しむ」才能

特集:
大谷翔平
サンスポ記者の球界ここだけの話
エンゼルス・大谷

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 名刺を差し出すと、腰掛けていたベンチからサッと素早く降りて、両手で受け取ってくれた。エンゼルスの大谷翔平投手(25)だ。われわれ会社員にとっては、常識的な社会人のマナーではあるが、自然とそれができることに感心した。

 11月に行ったインタビューの場所は、エンゼルスタジアム。球団広報からは球場内の会見室での待ち合わせを指定された。しかし、こちらが開放感のあるカリフォルニアの青空の下で話したいからダッグアウトにきてほしい、とお願いしていた。

 「野球をうまくなれるという前提でなら、地味な練習でもインナー(マッスルを鍛えるトレーニング)とかもちろん地味ですけど大事な動きなので、苦にもならないですけどね。長距離を何十時間も走れとか、そういう練習に関してなら僕は乗り気ではない」

 昨年10月に受けたトミー・ジョン手術からの復帰過程でも、大谷からはいわゆる“長く、つらく、過酷なリハビリ”をしている、という雰囲気をあまり感じない。単調なリハビリのトレーニングの一つ一つが二刀流復帰へ向けて着実に歩んでいる、という実感があるのかもしれない。

 インタビューをしながら改めて感じたことがある。大谷の強み、長所は「野球を楽しむ」気持ちが継続できていることではないだろうか。選手として成績を残し、チームの勝敗を左右する存在になれば、プレッシャーに対する苦しさがつきまとう。

 「やっぱり恵まれているなとも思うんで、うれしいなっていう気持ちのほうが(緊張や重圧を感じることよりも)勝ちますけどね。嫌だなっていう気持ちでマウンドにも行かないですし、打席にも行かない」

 それでも、同点や逆転のかかる打席では「怖いなっていうか、打てなかったらどうしよう」という恐怖感も当然のようにある。それも含めて野球を楽しむ、メジャーで野球ができてうれしい、という感情が大きくなる。それが大谷の秀でた才能なのだろう。

 30分のインタビュー時間が終わると大谷は「これ、いただきます」と小さく頭を下げてから、こちらが買ってきたミネラルウオーターを飲んだ。世界の才能が集まるメジャーでも、その能力に注目が集まる二刀流。2020年、大谷は見る者をどう驚かせてくれるのか。日米のファンとともに心待ちにしたい。(山田結軌)